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みんなみすべくきたすべく

出来過ぎの話を楽しむ

             エンジェルトランペットj
(承前) もう少し、「空飛ぶ船と世界一のばか」とグリムの「六人男、世界をのし歩く」を見てみたいと思います。

 グリムの「六人男、世界をのし歩く」の始まりは、単刀直入で昔話らしいスピード感があります。それに比べ「空飛ぶ船と世界一のばか」は、説明が多く、本題に行く前に手間取ります。・・とはいえ、8人乗ることができる船を手に入れてこその話ですから、そこも必要だといえます。

 さて、全体を見ると、主人公に肩入れできるのは「空飛ぶ船と世界一のばか」のばか息子です。
 というのも、グリムの「六人男、世界をのし歩く」は、
≪どんな技でも心得ている男が、戦争で勇ましく働いたものの、小さい銅貨3つでお払い箱になり、怒って、森に入っていくと・・・≫という始まり方です。怒っていることはわかるのですが、少々大人の理由が背景にあります。

  「空飛ぶ船と世界一のばか」は、
≪むかし、むかし、としをとったひゃくしょうのふうふがいてえ、むすこが三人あった。上のむすこふたりは、かねをかりてもだまされないくらい、りこうだったが、三番めは、世界一の大ばかだった。このむすこときたら、子どものようにむじゃきで、ときには、子どもより、もっとたあいがなかったから、人にわるいことなんかしたことがなかった。≫
 饒舌ではありますが、戦争帰りの大人と、人にわるいことなんかしたことがないばか息子じゃあ、子どもが肩入れしやすいのは、自ずとわかります。

  また、グリムの「六人男、世界をのし歩く」のお姫様は、むきになって、能力のある男と競争し、結果、負けてしまう箇所があります。負けて認めるなんて、子どもの本意じゃありません。しかも、そのあと、お姫様と結ばれるどころか、立ち消えになって、最後は、≪6人が宝物を持ち帰り、それを6人で分けて、死ぬまで楽しく暮らしました。≫という結末。お姫さま抜きの結末です。

 「空飛ぶ船と世界一のばか」の最後も、少々、説明過多ですが、次のようです。
 ≪ばかむすこは、王女様と結婚したために大金持ちになり、そのうえ、とてもかしこくなったので、宮殿の人たちは、ばかむすこのいったことなら、なんでもおぼえておいて、まねをするくらいだった。王さまもおきさきさまも、ばかむすこがすっかり気にいってしまった。王女さまはといえば、もうばかむすこにむちゅうだったそうだ。≫
 出来過ぎでしょっ!(続く)

*「グリムの昔話1~3」(フェリクス・ホフマン編・画 大塚勇三訳 福音館)
*「空飛ぶ船と世界一のばか」(アーサー・ランサム文 ユリー・シュルヴィッツ絵 神宮輝夫訳 岩波)
*「ピーターおじいさんの昔話」(ア―サー・ランサム著 ドミトリ・ミトローヒン挿絵 神宮輝夫訳 パピルス)

☆写真は、今を盛りのエンジェルトランペット。

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