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中編小説部門

ぺリグリーノj
(夢の続き) 
  2015年のまだ半ばですが、今年読んだ一番面白い「中編小説」に「供述によるとペレイラは・・・」 (タブッキ作 須賀敦子訳 白水社Uブックス)を選びます。

 「夢のなかの夢」(タブッキ 和田忠彦訳 岩波文庫)が面白かったので、他のタブッキも読んでみました。複数翻訳されているので、どれから読もうか思案したのですが、イタリアの文学賞を受け、彼の最高傑作と言われると紹介されていたので「供述によるとペレイラは・・・」にしました。

 須賀敦子訳もいいのでしょう。一気に読んでしまいます。推理小説ではないのに、推理しながら読んでしまう面白さ。大体、「供述によると、」で始まる文なんか、それほど見つかりません。実際の供述筆記でもない限り。
 つまり、供述せねばならない状況下に居るペレイラ。砂糖入りレモネードが好きな肥満体で、世の中が不穏な中、新聞の文芸担当で、フランス語の翻訳をし、人が良くて、今も、先立った妻を愛しているペレイラ。風采があがらないインテリという設定のペレイラ。文学がこの世でなによりも大切なものだとずっと信じてきたペレイラ。

 読み進めば進むほど、「この人何しでかして、供述してんの?」という迷路に入り込みます。周りの人物の方が癖があり、多分、そっちの方に行くだろうと予測をつけながらも、読み進んでいきます。
 推理小説風ですから、あまり内容を紹介するのはやめにしますが、このタブッキという作家、よほど「夢」には、惹かれるものがあるようで、この「供述によるとペレイラは・・・」でも、何度か、夢の話が、少しながらでてきます。(この後、何冊か読み続けたタブッキにも、多くの夢の話が入っていました。)

≪夢はなによりも個人的なことだから、どんな夢をみたかは、だれにも話してはいけないと、わたしは祖父に教えられました。いや、とカルドーソ医師がいった。あなたは治療のため、ここに来られたので、わたしはあなたの医者です。あなたの心理は、あなたのからだにつながっているですよ。だからどんな夢をみられるか、それを知る必要があります。・・・≫(夢は続く)
☆写真は、スイス ローザンヌ湖畔カフェ

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