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短編集部門

シャヴァンヌj
(夢の続き)(承前)
 2015年のまだ上半期ですが、今年読んだ一番面白い「短編集」に「夢のなかの夢」 (タブッキ作 和田忠彦訳 岩波文庫)を選びます。
 他人の夢ですから、完全なフィクションです。(訳者は、でっち上げと書いています。)

 が、実は、作品やその人物の時間的な動き、歴史背景を考証した上での作品のようです。どの話も、何年何月何日のある夜、ある明け方などと、しっかり設定し、話が始まるものですから、否応なしに、そのリアルな世界に一気に入っていきます。フィクションなのに、リアリズム溢れる世界、その境界線がよく分からないところが、この短編集の魅力です。夢の話であるものの、夢のような話ではないところが面白い。

 フランソワ・ラブレーの夢は愉快で、トゥールズ・ロートレックの夢は哀しすぎ、フロイトの夢は奇妙すぎついていけません。

 中でも、印象的だったのは、「画家にして激情家カラヴァッジョことミケランジェロ・メリージの夢」です。
 通称カラヴァッジョ(1571~1610)の作品は、今も人の目を引きつける作品ばかりです。その彼は、喧嘩早く、刃傷沙汰も多く、殺人まで犯して逃亡、投獄、脱獄、刺客に狙われ・・・と、ごろつきの人生だったようです。

 そんな彼が、なに故、あんな絵が描けたのか?多くは、毒を含む強烈な絵です。が、光の要素をすでに取り入れています。レンブラント(1606~69)やフェルメール(1632~75)より、早い時期です。
 タブッキの書いたこの文には、もしかしたら、そうだったのかもしれないと思わせる説得力があります。この夢は絵画「聖マタイの召命」(1599~1600)に関わる夢です。

 それに、カラバッジョの本来の名前はミケランジェロ!(夢は続く)

☆写真は、パリ オルセー美術館ガイドブック(日本語)のシャヴァンヌのページを開いた上に「夢のなかの夢」(岩波文庫)の表紙。このピエール・ピュヴィス・ド・シャヴァンヌ「夢」の一部を藍色の表紙にあしらった表紙は、岩波文庫オリジナルの表紙でなく、「夢のなかの夢」のもともとの表紙のようです。(シチリア出版社の叢書「記憶」の表紙)
 シャヴァンヌの作品は、昨年、東京Bunkamuraで「シャヴァンヌ展」やっていましたね。かつて、東京ブリジストン美術館「ドビュッシー 音楽と美術」展にも来ていたと思います。

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