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みんなみすべくきたすべく

優れた詩を拙い詩にしてはならない

けるむすこっとまなーしょうめんj
(承前)
 D.G.ロセッティ作品集 (南條竹則・松村伸一編訳 岩波文庫)は、小説3篇とソネット、抒情詩、長詩、批評、それにウォルター・ぺイターによる「ダンテ・ガブリエル・ロセッティ」という文で成り立っています。(ウォルター・ぺイターはエロール・ル・カイン絵「キューピッドとプシケー」の作者)
 その中に、カラーではありませんが、挿絵のようロセッティの絵も差し挟まれていて、ロセッティの文学と絵画の世界を一度に見ることができます。 特に、「絵画のためのソネット」は、その絵画自体が掲載されているので、一層深みが増すのではないかと思います。

 そして、「批評」という章に、『イタリア古詩人』序という訳詩について書かれた一文があります。

≪韻を踏んだ翻訳の生命はこの点にある――すなわち、優れた詩を拙い詩にしてはならないということだ。詩歌を清新な言語に翻訳することの唯一の真の動機は、清新な国民に、可能な限り、さらなる一つの美を所有せしむることでなければならない。詩は厳密な科学ではないから、訳の逐語性箱の主要なる目的にとって、まったく二義的なものでしかない。私はいま逐語性と言ったのであり――忠実さとは言っていない、両者は決して同じではないのだ。かくの如く成否の第一条件であるものと逐語性とが両立し得る場合には、翻訳者は幸運なのであって、両者を結び付けるために最善を尽くさなければならない。しかるに、そのような目的が大胆な言い換えによってしか叶えられない場合は、それこそが訳者のとるべき唯一の道である。≫

 がぁーん、「優れた詩を拙い詩にしてはならない」かあ。・・・子どものために作られた詩を訳すのを、ささやかな趣味にしている者には、耳が痛い。とても痛い。痛すぎる・・・(続く)

*「キューピッドとプシケー」  (ウォルター・ペーター文 エロール・ル・カイン絵 柴鉄也訳 ほるぷ)
☆写真は、英国ケルムスコットマナー

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