FC2ブログ
 

みんなみすべくきたすべく

ローザとジェイクの物語

      リージェントパークバラj
「パンとバラ  ローザとジェイクの物語」 (キャサリン パターソン 著 岡本 浜江 訳 偕成社)

  この本は、1912年アメリカ東部でイタリア移民労働者たちのストライキが起こり、その状況下で生きる移民の少女ローザと、貧しい少年ジェイクの物語です。時代と国こそ違えど、先日見た映画「パレードへようこそ」とつながる児童文学です。
 もともと、この本を知っていた友人が、同じ映画「パレードへようこそ」を観、拙ブログ「パンとバラ」を見、すぐにメールをくれました。「こんな本があるよ・・・」

 物語の前半は、当時のアメリカの労働環境や生活環境の劣悪さを描くことに終始しています。ストライキというまだなじみのなかった労働運動が、広まっていく様子も描かれ、児童文学というより、社会問題啓蒙、労働問題史といった感じもあります。子どもたちを巻き込んだ悲惨な状況は、旧時代のディケンズ「オリバー・ツィスト」の世界を思い出します。違いは、人々が立ち上がっているところでしょうか。
 そんな中、主人公である少年ジェイクは、世を恨み、愚痴をこぼし、犯罪を正当化してまで生きています。もう一人の少女ローザは、賢い子であるのに、なかなか主体性を発揮できず、自分で考え行動しているところまでいきません。

 数々の児童文学で、英気をもらってきたのは、少年少女である主人公たちが、成長していく様でした。困難を自ら切り開き、あるいは、周りに支えられて前進していく姿でした。それが、この本の前半ではあまり感じられず、少々読むのがしんどくなってきた頃、「パンとバラ」というスローガンを考え、プラカードに書くところが出てきます。・・・・で、その辺りから、つまり、後半から、この話は、俄然、面白くなってくるのです。(続く)
☆写真は、ロンドン リージェントパーク PRIDE OF ENGLANDという真紅のバラ

PageTop