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デュマのくるみわり人形

            おかしj
(承前)
 シャミッソー*から始まって、ホフマン、デュマ・・・なんだか、一回りという感じになりました。

 先のドイツ幻想全集の付録で、アレクサンドル・デュマ父がホフマンをモデルに描いた小説「ビロードの首飾りの女」(未邦訳)があることを知り、ホフマン(1776~1822)とデュマが深い関係にあることがわかりました。
 また、バレエ「くるみ割り人形」も、ホフマンの「くるみ割り人形とねずみの王さま」を原作とし、デュマ(息子)がフランス語翻訳し、父デュマが小説化したものを、チャイコフスキーがバレエの筋立てとしたらしい。参考:【「くるみ割り人形」あとがきにかえて(アレクサンドル・デュマ作 小倉重夫訳 東京音楽社)】 父のアレクサンドル・デュマ(1802~70)は「三銃士」「モンテ・クリスト伯」の作者で、息子のアレクサンドル・デュマ(1824~95)は「椿姫」の作者。両者は同名。

 先の「くるみ割り人形」の訳者「あとがきにかえて」によると、この「くるみ割り人形」作者アレクサンドル・デュマとあるものの、どちらのデュマが、つまり執筆が父親なのか息子なのか、はっきりとわからず、研究者でも意見がわかれるところだそうな。

 で、ホフマンの原作とデュマ本は、どう違うのかもよく知りませんでした。そこで、デュマ本も読んでみました。
 まず、挿絵を比べると、1845年初版本から訳出されたというデュマ「くるみ割り人形」(小倉重夫訳)は、挿絵も数多く入り、見るからに楽しい。(ただし、作者不詳) ホフマン「クルミわりとネズミの王さま」(岩波少年文庫)には、章題の下にカットが入る程度で挿絵がないのが残念。もちろん、センダックの「くるみわり人形」 (ほるぷ)には、たくさんの絵。

 さて、デュマの「くるみわり人形」を読んでみると、人物描写にホフマンよりページを割き、事象の説明も多い。ドイツの風習紹介の箇所もあります。ホフマンに慣れ親しんできた者にとっては、饒舌に感じます。それに、原作を超えたとデュマは思ったのでしょうか。作者名としてホフマン原作とは書いていないようです。(少なくとも、邦訳されたデュマ本のクレジットには、ホフマンの名前がありません。)うーん、これってあり?登場人物も、お話の流れも、みな同じものです。確かにフランスで公刊されたもので、デュマオリジナルの部分も多少ありますが、デュマ本は、ホフマンのリメイク本だと言ってもいいのではないかと思います。

*「影をなくした男」(シャミッソー 池内紀訳 岩波文庫)
*「くるみ割り人形」(アレクサンドル・デュマ作 小倉重夫訳 東京音楽社)
*「クルミわりとネズミの王さま」(ホフマン作 上田真而子訳 岩波少年文庫)
*「くるみわり人形」(E.T.A.ホフマン ラルフ・マンハイム英語訳 渡辺茂男日本語訳 イラストレーション モーリス・センダック ほるぷ出版)
☆写真は、英国オックスフォード アフタヌーンティ

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