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みんなみすべくきたすべく

マルチ・タレント

              観客席j
(承前)
 ホフマンの「大晦日の夜の冒険」が入っていたのは、ドイツ・ロマン派全集の一冊ですが、その付録に月報と称した二つの文が掲載されていました。
 
 まず「作曲家ホフマン」(田辺秀樹 ドイツ文学)という原稿は「ドイツ・ロマン派にはマルチ・タレントが多い。」から始まります。ふーんそうなのか・・・詩人や画家や作曲家が、他にも才能があったと紹介、そのうえで、極めつけがホフマンだと言います。
≪作家にして作曲家、音楽評論家にして画家。歌劇場の監督をつとめ、自作のオペラの指揮をはじめ、演出、舞台美術、機械仕掛けなども引き受けた。しかも、どの領域でも仕事は第一級である。さらにそれに加えてホフマンは――これがとくに肝心な点だろうが――有能な裁判官でもあった。まさに驚異の万能人間というほかはない。≫
 それで、文学史上に残した名前より、ホフマン自身が主要なものと考えていたのが音楽家の仕事であり、作曲家として認められることを求め続けたとあります。

 もう一つの原稿は「ビロードの首飾りの女」(田中義廣 フランス文学)でした。
 この一行目は、≪ポーと同じようにホフマンも、少なくとも十九世紀においては、本国よりもフランスにおいて高い評価を得た作家だということができるだろう。≫とし、ホフマン流行も衰えた1850年にアレクサンドル・デュマ(父)が発表した幻想小説「ビロードの首飾りの女」の主人公がホフマン自身としています。 えええっー!また続いていく・・・と思ったら、幸い、残念なことに、翻訳されていないので、とりあえず、この幻想小説群を一休みできます。(・・・と、思ったけど、まだ続く)
 
 さて、その付録の一枚裏表の月報には、「大晦日の夜の冒険」と「G市のジェスイット教会」のガヴァルニの挿絵が二場面掲載されていて、おまけと片づけるに忍びないものでした。とはいえ、ギュスターブ・ドレが憧れたという**ガヴァルニの絵をもっとみたいものの、先のデュマの作品「ビロードの首飾りの女」が未邦訳だったように、どうもフランス文学やその挿絵関連の紹介は遅れていて、多くを知ることができません。残念!

*「大晦日の夜の冒険」(ホフマン 前川道介訳 国書刊行会 ドイツ・ロマン派全集13巻)
*「G市のジェスイット教会」(ホフマン 池内紀訳 岩波文庫 ホフマン短編集 こちらの挿絵は、A.クービン)
**「フランスの子どもの絵本史」(石澤小枝子・高岡厚子・竹田順子・中川亜沙美著 大阪大学出版会) 
☆写真は、パリオペラ座観客席の個室を覗いたところ。

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