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まほうつかいのむすめ

スパニッシュビューティj
「まほうつかいのむすめ」 (アントニア・バーバー文 エロール・ル・カイン絵 中川千尋訳 ほるぷ)

 エロール・ル・カイン絵本の多くは、装飾過剰気味ともいえる華麗なタッチの絵本です。その中でも、この「まほうつかいのむすめ」は、東洋の雰囲気の漂う西洋の冷たい国という背景になっています。

  長い黒髪のまほうつかいの「むすめ」は、黒檀や象嵌の家具に囲まれ、ある場面では十二単衣にも見える、東洋風の衣装に身を包んでいます。鳥になって飛翔する場面は、中国の山水画を思い出します。池に描かれた蓮、そして、その周りに描かれた病葉は、伊藤若冲がお得意とする葉に似ています。そして、最後のシーンでは、鶴が飛び、大きな松のような木が生えています。ただ、向うには、いわゆる西洋の塔のあるお城。
 雪のシーンでは、針葉樹林が描かれ、北欧風、魔法使いの乗る馬は、西洋風。
・・・・と、まあ、まほうつかいの世界なのですから、こんな不思議もありかと思います。それに、著者アントニア・バーバーの養女がベトナム戦争孤児であり、その子の希望でこの絵本の画家がエロール・ル・カインになったとありますから、東西の融合は、さらに深いものを表現しているとも言えます。
 
さて、名前のないまほうつかいの娘は、自分の本当の名前を知りたくて、また母親がどこなのか知りたくて、父だと名乗るまほうつかいに問いただします。すると、まほうつかいは、
≪「むすめよ、おまえには母はいない。そのむかし、孤独にたえきれなくなったわたしが、宮殿の壁に咲く一輪のバラに、つよいまほうをかけて、おまえにしたのだ。」
「それならわたしを、もういちどバラにしてください」むすめはいいました。「そうすれば、ほんとうのことかどうかわかるでしょうから」
「いいだろう。しかし一日だけだぞ。」≫

☆写真は、今朝、今年一番に咲いたバラ(スパニッシュ・ビューティ)。この別嬪さんの写真が使いたくて、バラの出てくる話にしました。他のバラの話は、かつて海ねこさんで載せてもらっています。

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