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金剛寺の名宝

金剛寺屏風j
(承前)
 京都国立博物館の平成知新館で開かれている、特別展観「天野山金剛寺の名宝」展(~2015年3月29日)で、特筆すべきは、「日月山水図屏風」という六曲一双の屏風です。
 
  上写真、パンフレットの絵が、太陽(日)の描かれた右双の一部です。その抽象的に表現された山や水の流れは、時代(室町時代)を全く感じさせず、モダーンな雰囲気さえあります。屏風に多く見られる立体的な迫力というより、昔話の挿絵にも通じる温かさを感じました。緻密に計算された美というより、ほのぼのとした緩さを感じます。

 この屏風のことを白洲正子が「かくれ里」 (講談社文芸文庫)の中で紹介しています。
≪一双の片方には、春から夏へうつる景色を描き、片方は、秋から冬へかけての雪景色で、前者には日輪を、後者には月輪を配している。目ざめるような緑の山と、月光に照らされた冬山と、どちらをとるかといわれると返答に困る。これほど一双が対照的で、優劣の定めがたい屏風はない。春の山は今桜が盛りで、いつとはなしに夏がおとずれ、やがて目をうつすと、紅葉の峰から滝が落ち、はるかかなたに雪を頂いた深山が現われる。その麓をめぐって、急流がさかまき、洋々たる大海へ流れ出る風景は、日本人が自然の中に、どれほど多くのものを見、多くのことを学んだか、無言の中に語るように見える。≫

 単行本の「かくれ里」の装丁には、この「日月山水図屏風」を使っています。うちの文庫本では小さな資料写真が掲載されているだけで、実物の目の覚めるような緑色の豪華な装丁の様子は残念ながらわかりません。写真左端は、美味しい日向夏。

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