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みんなみすべくきたすべく

絵にも増してこれは絵だ

      リンゴj
(承前)
「英国に就て」(吉田健一著 ちくま学芸文庫) 
この文庫本の一番初めの「象徴」という文に英国の風景のことが書いてありました。
≪…英国はどこまでも平地か、低い丘陵地帯が続いて、それが南部では果樹園になっているのが北に行くに従って所どころに森があるのを囲む牧場や麦畑に変り、さらに沼沢や炭田が現れて、やがて草の色まで南部とは違ううら寂しい牧場になる。しかし、その全体の印象を一括して言うならば、何かいかにも優しい感じがして、牧場というのをもう少し説明すれば、日本ならば芝生と呼んだ方がよさそうな緑の草原であり、落葉樹が多い森は春は若葉、秋は紅葉で、日本では山地に行かなければ見られない変化に富んだ色彩を呈し、それに村の古風な民家や教会の塔が配されていたりすると、絵にも増してこれは絵だという感じがする。また、日光がそういう具合に射して、炭田や工場地帯にも、そのようなものとは思えなくなる。≫

 ほめ過ぎのようにも思える文とはいえ、吉田健一がこの文を書いて、もうずいぶんになるはず(筑摩書房より刊行されたのが1974年)なのに、昨夏英国に出かけた者が、その通り!と納得できるのも、英国の風景です。たぶん、大きくは、変わらない。英国の優しい田園風景。
 それで、この文のあと、英国の風景画について綴っています。(続く)
☆写真は、英国 ケルムスコットマナーの果樹園 

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