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みんなみすべくきたすべく

「英国に就て」

ペンブリッジ公j
 文庫本の新刊コーナーにあった吉田健一著「英国に就て」(ちくま学芸文庫)
もう何冊か、吉田健一の随筆は読んだけれども、この自信まんまんの題名!

  イギリスびいきとしては、今まで数々のイギリス紹介本を読んできました。およそどれも英国礼賛で、ひいきの引き倒し感覚の者には、どれも面白かったものの、この「英国に就て」ほどの太い骨はなかったような。この人の出自・経歴から考えると当然といえば当然ですが・・・

 言うことは言う。媚のないその姿勢が骨となっているのでしょう。
 ≪・・・たいがい日本人がちょっと外国に行って帰ってきて、少しでも筆が立つ人間だと文明批評を始める。ものが書けない人間でも、口で文明批評を喋りまくるのだから、書ける人間が書きたくなるのは無理もないとしても・・・・(中略)…無暗に感心したり、けなしたりするのはまだそれ程困ることはない方で、現場に行ってきたという強味と数字や表や片仮名で書く名前がたくさん出てくる学問の権威で、何も知らない読者を煙に巻く文明批評が一番厄介である。 大体、外国に何年行っていたからと言って、それだけで外国のことを滔々と述べ立てられるというのは、向うに行っていて向こうの風物に少しも親しまなかった証拠ではないだろうか。それもあって向うにちょっとしか行ってこなかったものほど、色んなことを言いたがる。・・・・(略)≫
 と手厳しい論調なのですが、お酒や食べ物の文では、そのにやにやしたお顔が見えそうです。(続く)

☆写真は、英国 オックスフォード ボードリアン図書館 神学校中庭 William Herbert,3rd Earl of Pembroke像。シェイクスピアのソネットのいくつかが捧げられた人らしい。

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