FC2ブログ
 

みんなみすべくきたすべく

風刺画

パンチj
(承前)
 写真に写る英国パンチ誌は、1841創刊(~1992)で、それは、フランスの「ラ・カリカチュール」や「ル・シャリヴァリ」という風刺画の載る紙面を真似たようです。
 この表紙は、パンチ1936年のものですが、リチャード・ドイルという「妖精の国で」(アリンガム詩)の絵を描いた画家で、シャーロックホームズの作者コナン・ドイルの伯父さんが描いています。そして、長きにわたってこの表紙だったようです。

 それで、写真右に写る風刺画です。この絵の載ったのは、1934年の号です。ナチスの風がイギリスまで吹いてきていたのでしょう。「ミロのビーナス」のような彫刻は、ヒットラー風の男の人の前で、左手を掲げています。この題は、〝The Nati Movement in Art"。

 第二次世界大戦(1939年~1945年)に至る空気の中、まだ皮肉で済んでいる時期です。が、しかし、キャプションには、ヒトラー風の男性が言っています。「確かに、よくできているよ。だがね、腕が違うんじゃないかい」(ナチス式敬礼は右手を挙げるのですが、この絵では左手。とぼけた顔の彫刻家が可笑しい。)

 昨日のドーミエの風刺画のタイトルも「法をつくる腹」(1834)といって、文字通り私腹を肥やして、おなかの出っ張った老人政治家たちを描いていました。「法をつくる腐った人たち」などと言わないところが、風刺画の「大人な」ところです。参考までに、この絵の描かれた翌年1835年には「表現の自由」を奪う事前検閲制度復活の法案が、絵に描かれた人たちによって可決されたようです。*

 タイトルでも、絵でも、本質を直接的に表現するのではなく、毒を隠しながらも、実は、その本質を提示している。それが、風刺であり、風刺画じゃないかと考えます。しかも、戯画という生まれを忘れない画が風刺画ではないかと思うのです。(続く)
*「カリカチュアの近代ー7人のヨーロッパ風刺画家」(石子順著 柏書房)

PageTop