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みんなみすべくきたすべく

隅の窓

影2j
                 影1j
(承前) 
 ホフマン短編集に入っている「隅の窓」というの小品も、ホフマンの想像力がどんな風に広がっていくのかを知る面白いものでした。

 両足の自由を失った「従兄」と「私」が広場を見渡す窓から、広場を行き交う人々を、人間観察。
≪従兄・・・君、見たまえ、通りを少し上がってホテルの前の歩道だね、人の流れが切れたところ、ぽつんと一人いるだろう。
私・・・・背が高くてすらりとした青年かね。丈の短い黄色っぽいチョッキを着ている。黒い襟に飾りボタンつきのやつだ。銀のすじ入りの小さな赤帽を頭にのっけた男かね。帽子の下からふさふさした髪がはみ出しているが、多すぎるほどの黒い髪だな。色白の美男子、上唇の上の短く刈りこんだ髭がよく似合っているじゃないか。折り鞄をかかえたところよりすると――あれは学生だな。寄宿舎にもどるところ――でも、足が地にはえたみたいに動かない。一心に目を据えている。寄宿舎も何もかも忘れはてた顔つきだ――
従兄・・・忘れはてもしようじゃないか。おちびの踊り子さんに見とれている。時は満てりというわけだ。・・・・・・・≫

 と、まあ、こんな調子で、広場の人々を眺めるという話なのです。そこまで想像する?というくらい人の動き・表情から、その人のことを表現します。こんなに想像力がたくましかったら、かえって疲れるだろうなどと思うのは余計なお世話でしょう。ホフマンは、この無限に広がる想像力を駆使して、幻想的で不思議な世界を築いていったのだとわかります。
(2015年にUPする「黄金の壺」「牡猫ムルの人生観」に続く)
☆写真は、銀座の夜の舗道に照らし出された影

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