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かたいくるみの物語

まどのそとj
(承前)
 ホフマン原作の「クルミわりとネズミの王さま」(センダック「くるみわり人形」)にある、「かたいくるみの物語」は、ピルリパート王女ほど美しい女の子はこの世に生まれていなかった、というところから始まります。

≪…王女さまの小さな顔は、ゆりの花のように白い絹糸と、ばらの花のように赤い絹糸を織りあわせたほどの美しさ。その瞳は、るり石のようにきらめき、巻き毛の髪の毛は、波うつ金の糸。その上、かわいいピルリパート王女には、生まれた時から、真珠のように真っ白な歯が、上下にはえそろっていたそうだ。…≫

 それで、その王女の母親(王妃)が、ねずみの一族(マウゼリンクス)に脂身を分けてあげた結果、王さまの立腹を招き、ねずみ一族への復讐を決心。で、何匹かは罠にかかってしまうものの、残ったマウゼリンクスたちは怒りと失望と復讐の念を持ち、王妃に忠告します。
 「・・・気をつけな、王妃さま、ねずみの王妃に、おまえのかわいい王女さまが、まっ二つにかみきられないように、気をつけな!」
 ある晩、大ねずみが王女のゆりかごをのぞいているのを(写真上部が、そのシーン)侍女が発見するも、ねずみが消えた後、王女をのぞきこむと!≪金色の巻き毛にふちどられ、うす桃色だった天使のようなお顔が、ぶかっこうな大頭に変わり、その下に、やせてちぢんだ体がついていた。るり石のように青かった瞳は、緑のぐりぐり目玉に変わり、こちらを見つめていたし、かわいかった口は、耳までさけていた。≫
 
 ・・・・と読むと、思い出すのが、 「まどのそとのそのまたむこう」*です。
≪ゴブリンたちがやってきました。おへやにはいったゴブリンたちは、こおりのにんぎょうを かわりにおいて、あかちゃんをかかえて でていきました。≫(写真下部が、そのシーン)

・・・と読むと、思い出すのが、アイルランドの昔話の「取り換え子(Changelings)」のお話。
例えば、「たまごのカラの酒つくり」*
≪サリバンのおかみさんは、いちばんのすえの子どもが、「妖精かくし」にあって、かえ子をされてしまったのだと思いました。ようすを見ると、どうもそうとしか思えません。おかみさんのじょうぶな、青い目の男の子が、一晩のうちに、くしゃくしゃに、ちいさくしなびて、キイキイ、キャアキャア泣くようになったのです。…≫(続く)

*「くるみわり人形」(E.T.A.ホフマン ラルフ・マンハイム英語訳 渡辺茂男日本語訳 イラストレーション モーリス・センダック ほるぷ出版)
*「クルミわりとネズミの王さま」(ホフマン作 上田真而子訳 岩波少年文庫)
*「まどのそとのそのまたむこう」(センダック作 脇明子訳 福音館)
*「イギリスとアイルランドの昔話」(石井桃子編・訳 J.D.バトン画 福音館)

☆写真奥は、「くるみわり人形」。手前は「まどのそとのそのまたむこう」

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