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物語が絵から発酵してくる

ホワイトワインj
(承前)
 「ロンドンのマドレーヌ」(江國香織訳 BL出版)は、作者ルドウィッヒ・ベーメルマンスが亡くなる前年、1961年に出版されたものです.
ルドウィッヒ・ベーメルマンスの死後、孫のジョン・ベーメルマンス・マルシアーノが祖父ルドウィッヒの「マドレーヌ」の描き方を踏襲しつつ、「マドレーヌとローマのねこたち」「マドレーヌとパリのふるいやしき」など数冊(江國香織訳 BL出版)を編集・出版しています。

 ジョン・ベーメルマンス・マルシアーノのマドレーヌは、アニメーションとしても活躍しているらしく、祖父の描いたマドレーヌより、お目々がくりくりになっています。「ロンドンのマドレーヌ」が「マドレーヌといぬ」より、少々ラフな描き方になったのと違った意味で、ラフな絵に。

 四冊のマドレーヌ(「げんきなマドレーヌ」「マドレーヌといぬ」「マドレーヌといたずらっこ」「マドレーヌとジプシー」福音館)の訳者瀬田貞二は「絵本論」 (福音館)の中で、≪ルドウィッヒ・ベーメルマンスの描いた四冊のマドレーヌの絵本を、見るたびに、純度の高い果実酒をのみほすようなすがすがしい気持になります。そうとしかいえないのは、いつもいつも楽しく酔わせるような陽気な活気があって、それがみな闊達自在な絵から物語を発酵してくるためでしょう。物語が絵から発酵してくる例は、そんなに多くありません。≫としています。

 この二代にわたって書き続けられている今年75周年のマドレーヌという絵本を並べて眺めると、新しいマドレーヌの絵本たち(ジョン・ベーメルマンス・マルシアーノ作)は、おじいちゃん(ルドウィッヒ・ベーメルマンス)の描いたマドレーヌの遠縁のマドレーヌにしか見えなくなります。

  とはいえ、 ジョン・ベーメルマンス・マルシアーノの書いた「ベーメルマンス マドレーヌの作者の絵と生涯」 (福本友美子訳 BL出版)という本は、絵だけでなく、手紙などの資料も多く、祖父を愛する孫が生んだ一冊といえましょう。そして、画家ルドウィッヒ・ベーメルマンスの仕事の奥の深さとその実力を知ることのできる1冊となっています。(続く)
☆写真は、スイス レマン湖ほとりニヨン。

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