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みんなみすべくきたすべく

まざっていく

餌を食むj
(承前)
  ≪イケニ族は馬を飼育する『馬族』で、野生の馬を慣らし仔馬を育てて、馬の数を増やしていく。だから彼らにとって財産とは、金銀ではなく、所有している馬の数だった。力強い雄馬、調教前の二歳馬、仔馬を産んでくれる雌馬、二頭立ての戦車をひくよう調教された軍馬・・・・。白亜の丘陵地帯にたどり着いた彼らは、この草原が馬の放牧に適していることを見てとった。こここそ、自分たちの土地…。≫(「ケルトの白馬」 ローズマリ・サトクリフ 灰島かり訳 ほるぷ出版)

 こうやって、サトクリフは、まず初めに、イケニ族であるルブランたちが、いずれ白馬を書くことになる布石を打ちます。が、サトクリフの面白さは、この構成力だけではありません。

 ≪征服者の血には必ず、先住民の血が混ざっていた≫ルブランを主人公に据えることにより、歴史が、年号の羅列や征服者や為政者たちのものではなく、いわゆる無名の人間一人一人が生まれ、生きた証しだと表現するところに、面白さがあると思います。それは、サトクリフの他の歴史小説「第九軍団のワシ」「ともしびをかかげて」「銀の枝」「運命の騎士」「太陽の戦士」「王のしるし」などにも、共通しています。

 歴史は、他を排除していくことだけでなく、まざっていくという事実でもあり、あるいは、簡単に百年といっても、その間に世代は変わっていくのだという事実でもあります。こんな当たり前のことに着目する歴史小説に、それまで出会ったことがなかった私は、初めて、サトクリフに出会ったとき、目から鱗が落ちました。(続く)

*「ケルトの白馬」(ローズマリ・サトクリフ作 灰島かり訳 ほるぷ出版)
*「ケルトの白馬/ケルトのローマの息子」(ローズマリ・サトクリフ作 灰島かり訳 ちくま文庫)
*「第九軍団のワシ」(ローズマリー・サトクリフ著 ホッジス挿絵 猪熊葉子訳 岩波)
*「ともしびをかかげて」(ローズマリー・サトクリフ著  キーピング挿絵 猪熊葉子訳 岩波)
*「銀の枝」(ローズマリー・サトクリフ著 キーピング挿絵 猪熊葉子訳 岩波)
*「辺境のオオカミ」(ローズマリー・サトクリフ著 キーピング挿絵 猪熊葉子訳 岩波)
*「運命の騎士」(ローズマリー・サトクリフ著 キーピング挿絵 猪熊葉子訳 岩波)
*「太陽の戦士」(ローズマリ・サトクリフ著 キーピング挿絵 猪熊葉子訳 岩波)
*「王のしるし」(ローズマリー・サトクリフ著 キーピング挿絵 猪熊葉子訳 岩波)

☆写真上は、ホワイトホースカントリーの馬。下は、「白馬」を望むロングコット村の13世紀の教会(The Parish Church of St Mary the Virgin)。新しい窓は18世紀のもの。

                    チャーチj

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