FC2ブログ
 

みんなみすべくきたすべく

残暑お見舞い申し上げます。

          カンナj
 子どもの頃、8月半ば、まだまだ暑いのに、なんで残暑見舞いやねん!暑い中、まっ只中やん!などと、思っておりました。

 が、先日の吉田健一訳の「麦を打つものが風に言った」(ベレイ詩)を書いたとき、こっちも夏にぴったり!と思ったのが、ランボオの「Sensation」
 ただし、こちらは、骨太というより、ロマンの香りが・・・(暑苦しい?)
 手元には、堀口大學、中原中也、永井荷風、3人の訳詩。

 堀口大學のつけたタイトルは「感触」(ランボー詩集 新潮文庫)
 中原中也のつけたのは「感動」(ランボオ詩集 岩波文庫)
 永井荷風のつけたのは「そゞろあるき」(珊瑚集 仏蘭西近代抒情詩選 岩波文庫)

 堀口大學の「感触」が、声に出すには楽しいけれど、
 今日のところは、永井荷風が「仏蘭西近代抒情詩選」に選んだ たった一つのランボオ。

「そゞろあるき」( 「珊瑚集 仏蘭西近代抒情詩選」 永井荷風訳 岩波文庫)
 蒼き夏の夜や
 麦の香に酔ひ野草をふみて
 小みちを行かば
 心はゆめみ、
 我足さわやかに
 わがあらはなる額、
 吹く風に浴(ゆあ)みすべし。

 われ語らず、われ思わず、
 われたゞ限りなき愛
 魂の底に湧出(わきいず)るを覚ゆべし。
 宿なき人の如く
 いや遠くわれは歩まん。
 恋人と行く如くうれしく
 「自然」と共にわれは歩まん。

 タイトルもずいぶん意訳ですが、最後の行が他の二人と違って、永井荷風の照れ隠しのような気がして、ほんとは、シャイな人かもしれない、と思った次第です。

 参考までに、堀口大學の最後の行は
≪…天地(あまつち)の果てしかけ――女なぞ連れたみたいに満ち足りて。≫
中原中也は
≪天地の間を、女と伴れだつやうに幸福に。≫
☆写真は、カンナ。昔は、真っ赤なカンナをよく見かけたけどなぁ。

PageTop