FC2ブログ
 

みんなみすべくきたすべく

石井桃子についての本三冊、その後(1の3の1)

        西表のねこj
 (承前)
 「マイ・アントニーア」(ウィラ・キャザー 佐藤宏子訳 みすず書房)で、アントニーアは、ボヘミア移民の子として描かれています。

 そのボヘミア移民で思い出したのが、同じくボヘミア移民の子、絵本「100まんびきのねこ」の作者ワンダ・ガアグでした。ただ、母方からみると、すでにボヘミア移民三世で父親は画家だったガアグと、時代も少し差のあるキャザーの生みだしたアントニーアの暮らしには、少々隔たりがあるものの、父親を早くに亡くし、一家の働き手となる個人的な背景はよく似ています。また、母国の文化や風習を重んじながら、アメリカの風土になじんでいくところは同じで「ワンダ・ガアグ 若き日の痛みと輝き」 (ワンダ・ガアグ・阿部公子訳・こぐま社)という日記を読むと、≪私は、アメリカで生まれたが、時々、幼児期をヨーロッパで過ごしたような錯覚を覚える。父はボヘミア生まれ、母の両親も同様だ。私の生まれたミネソタ州ニューアルムは、中世ヨーロッパの人たちが建設した町で、私は、旧世界の風習や伝説、バヴァリアやボヘミアの民謡、ドイツのメールヘンや体操会の中で育った。学校に上がるまで、英語は話さなかった。≫とありました。

 ワンダ・ガアグは、絵本「100まんびきのねこ」を生みだします。これは、昔話ではなく創作ですが、、そのリズミカルな文章は、耳で楽しむ昔話のそれと同じです。そして、それを、石井桃子が美しい日本語にして、日本の子どもたちも、楽しめるように紹介したのは、幸運でした。ウィラ・キャザーに惹かれた石井桃子が、ガアグに出会ったのも、偶然ではないような気がします。(続く)

*「100まんびきのねこ」(ワンダ・ガアグ作 石井桃子訳 福音館)
☆写真は、西表島のねこ 西表山猫にあらず。(撮影:&Co.A)

PageTop