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みんなみすべくきたすべく

短編部門

              セーヌ左岸夜j
  現在、2014年の半分折り返し地点ですが、早々と今年一番面白かった本のことを書きます。まずは、短編から。というか、短篇集から。

 電車用に買った「愛書狂」(平凡社ライブラリー)は、以前ここにも書いた「本を愛しすぎた男 :本泥棒と古書店探偵と愛書狂」を読んだ後でした。「本を愛しすぎた男」は、ノン・フィクションでしたが、この「愛書狂」という短編集は、フィクション5と解説1、作者紹介などからなっています。挿絵もところどころに入っていて、セーヌ河岸の路面古書店通りや、古色蒼然のパリの雰囲気を伝えていて、ぴったり!

 短編5編の作家は、4人がフランス人で、「ボヴァリー夫人」のフローベール、「三銃士」のデュマ、ノディエ、アスリノー、最後の1人が童話集で有名なイギリス人ラングです。

 第1話フローベールの「愛書狂」と言う作品には、モデルとなった事件があるのですが、それを書いたのが、フローベール15歳に達しない時!というから、天才、恐るべしというしかありません。

 第2話デュマの「稀覯本余話」は、文豪というイメージから遠く、軽いタッチで、粋でお洒落。

 第3話ノディエの「ビブリオマニア」という作品は、ゆめゆめ電車で読むなかれ。その可笑しさとリズムに、思わず笑ってしまいます。

 また、唯一イギリス人、ラングの「後日譚 愛書家煉獄」は、第4話「愛書家地獄」の後日譚ということで、深いものがあり、しかも、そのユーモアもなかなかのもの。

 5編は、フィクションとはいえ、実際に稀覯本として存在する数々の古書や、愛書狂やコレクターとして名を残した実在の人たちが、登場するので、先のノン・フィクション「本を愛しすぎた男」との差異が、段々不明になっていきます。しかも、各作家の筆力が、読者をぐいぐい引き込んでいきます。・・・・うーん、訳もうまい?
 恥ずかしながら、訳者生田耕作のこと、よく知りませんでした。(続く)

*「愛書狂」(G.フローベールほか 生田耕作訳 平凡社 挿絵は、O.ユザンヌ『巴里の猟書家』から)
*「本を愛しすぎた男 :本泥棒と古書店探偵と愛書狂」(アリソン・フーヴァー・バートレット 築地 誠子訳 原書房)

☆写真は、パリ セーヌ川 シテ島にある 元牢獄のコンシエルジュリーを含む建物をセーヌ左岸から夜に撮ったもの

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