FC2ブログ
 

みんなみすべくきたすべく

石井桃子についての本三冊の続きで読んだ本3冊 (その2の1)

          かめのおやこj
(承前)
「ウサギどん キツネどん」(J.C.ハリス作 八波直則訳 A.B.フロースト挿絵 岩波少年文庫)

 「ウサギどん キツネどん」の面白さは、いつもは弱いウサギが、あるいは、もっと無力そうなカメが、相手を出し抜く爽快さ。時には、驚きのやっつけ過ぎの帰来があったとしても、そこは、勧善懲悪の昔話の世界。いつも、いーっつも騙されて、馬っ鹿なキツネどん!わるーいウサギどん!などなどなど。短い話が一気呵成に話が進みます。

 加えて、この「ウサギどん キツネどん」の面白さは、語り部のリーマスじいやと聞き手である男の子の掛け合いです。  アーサー・ビナードが訳出した「コンチワ、家(うち)どん!」にはありませんが、どの話にも、男の子がじいやに話をせがみ、話が終わると、一言加えて、なんだか不合理な?不条理な?話の結末に含みを持たせ、次へとつなぐパターンが多いです。
 かつてアーサー・ビナードもミルンもしなかったように、黒人奴隷の思いや背景を深読みすることなんて、子どもたちはしません。純粋に話の面白さに惹かれ、お話を素直に楽しみます。

あれ?「これって『おだんごぱん』のお話によく似てる」
ありゃ「これって、『ウサギとカメ』じゃん」
あれぇ「日本の『さるかに合戦』に似てる?」
あとがきによると、≪ヨーロッパの「キツネ物語」「グリム童話」「ロシア民話」、日本、インドそのほか世界のいろんな昔ばなしに、似た話が見つかる≫とされます。
 が、しかし、今回、読み返して思い出したのは、各国昔話の数々というより、一つの現代日本の創作童話でした。もしかして、この作者も、アーサー・ビナードやミルンのように「アンクル・リーマス」(「ウサギどんとキツネどん」)好きだったんじゃない?
 (石井桃子についての本三冊の続きで読んだ本3冊 (その2の2)に続く)

☆写真は、ウサギどんのすけだちをしたり、『首にひきつりがするから』と言ったカメどんではありません。

PageTop