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石井桃子についての本三冊の続きで読んだ本3冊 (その1)

アッシュダウンフォレストj
(承前)
 2013年のベン・シャーン展講演会から、アーサー・ビナード氏には着目しているのですが、石井桃子についての三冊の本の1冊『石井桃子の翻訳はなぜ子どもをひきつけるのかー「声を訳す」文体の秘密』(竹内美紀著 ミネルヴァ書房)の参考文献に、その名前を見つけたのも興味深いことでした。
 これってもしかして、石井桃子が「ミルン自伝 今からでは遅すぎる」 (岩波2003)を訳した時のことかな?と、読んでみました。「日本語ぽこり ぽこり」(小学館)

 この本は、軽いタッチで読みやすいエッセイです。米国人アーサー・ビナードの視点で、日本やアメリカの身の回りのエトセトラを書いています。
 その中に、「兎に化けた蜘蛛が狼を馬鹿に」というエッセイがあります。子どもの頃のアーサー・ビナードと父親が、「アンクル・リーマス」(「ウサギどん キツネどん」 岩波少年文庫)で、楽しいひとときを過ごしたことが中心に書かれています。

 そして、日本に来たアーサー・ビナードは石井邸で、「クマのプーさん」の作者ミルンについて話す時間を持った時、ミルンも子どもの頃、「アンクル・リーマス」に魅了された話を聞かされます。

 それは、≪幼いミルン3人兄弟に父親が一話ずつ聞かせていたらしいのですが、父親が留守の時、住み込みの家庭教師が代わりに読むと、リーマスじいさんの方言が読みこなせなかったので、二度とその人に「アンクル・リーマス」を渡さなかった≫という話です。
 アーサー・ビナードも幼いミルンも、方言を読みこなす父親の声を楽しみ、それを記憶として留めて行ったエピソードなのです。

 ところで、この章には、アーサー・ビナード訳「アンクル・リーマス」の話が一つ入っています。 
 アーサー・ビナードは、石井桃子からその訳本「ウサギどん キツネどん」をもらうのですが、半世紀も前に八波直則が訳し出版していたことに驚き、自らも残り151話を訳そうと思い立つも未だ実現せず・・・たった一つ「日本語ぽこりぽこり」の中で「コンチワ、家(うち)どん!」(“Heyo,House!”) 訳出したというわけです。
 是非、全訳をお願いしたいところです。(ただその時、挿絵は、ほかの人でお願いします。)
(「石井桃子についての本三冊の続きで読んだ本3冊 その2」に続く)

*「日本語ぽこりぽこり」(アーサー・ビナード 小学館)
*「ウサギどん キツネどん」(J.C.ハリス作 A.B.フロースト絵 八波直則訳 岩波少年文庫)
*「ミルン自伝―今からでは遅すぎる 」(A.A.ミルン著 石井桃子訳 岩波)
☆写真は、プーの舞台となった英国 アッシュダウンフォレスト(撮影:&Co.Ak.)

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