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えを かく かく かく

寝ているj
 「えを かく かく かく」 (エリック・カール作 アーサー・ビナード訳 偕成社)
 エリック・カール(1929~)の作品で、もはや古典的存在になろうとしているのは「はらぺこ あおむし」(もりひさし訳 偕成社1969)ですが、彼の新しい作品(2011)がアーサー・ビナードによって訳され、最近出版されました。

 エリック・カールが子どもの頃に出会ったドイツの画家フランツ・マルク(1880~1916)の描く色鮮やかな世界。その夭折の画家の背景と時代。
 エリック・カール80歳を超えてなお、「えを かく かく かく」の世界に表現したのは、そのフランツ・マルクの影響を受けた動物の世界と色の世界。特に「青い馬Ⅰ」から受けた影響は、表紙の青い馬で、一目瞭然です。

 もちろん、エリック・カールの力強い描線やその表現方法は、子どもたちにも私たち大人にも力を与えてくれ、楽しいものです。もしかしたら、フランツ・マルクの描いた“Blue-Black Fox”より、絵本のむらさきいろのきつねが好きかも。キツネの狡猾さがよく出ていると思うのです。

 そして、忘れていけないのは、アーサー・ビナードの訳です。
≪・・・・またまた ぼくは かく かく かく。すばらしく      オレンジいろのぞうを。つぎに すっかり      むらさきいろの きつねを かいちゃう。 かく かく かく。こんどは とんでもなく     くろい しろくまだ。   ・・・・・・(略)・・・・・ぼくは えかきだ。 じぶんの ほんとうの えを かく かく かく≫
 と、ここに引用してみたものの、やっぱり、絵本はページを繰ってこそ、声を出して読んでこそ。
 こんな短い言葉で、力が湧いてきそうな気がします。

 そして、この絵本は、原題を“The Artist Who Painted a Blue Hourse”というのですが、邦題を「えを かく かく かく」としたのは、子ども絵本のタイトルとして、とても魅力的です。
 本質を響きのいい簡単な言葉で表現できていると思います。

☆写真は、英国ヘミングフォードグレイ村。こんなに近づいても大丈夫でした。

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