みんなみすべくきたすべく

サイン本

         さいんj
(承前)
≪(本泥棒)ギルキーは稀覯本を手に入れると、歳月を経た本の匂いやぴんとした紙の感触を楽しみ、悪いところはどこもないか確認してから、そっと本を開き、数ページぱらぱらとめくってみる。作者が生きているなら、サインがほしいかどうかを考えてみる。ギルキーに言わせれば、『透明人間』のような本は、高級ワインと同じで、所有すること、自分のコレクションに加えることこそが喜びであり、読むことが目的ではない。そして、実際に殆ど読まない。彼が愛着を感じるのは―――ほとんどの本のコレクターと同じように―――本の内容というより、本が象徴しているものすべてに対してであった。≫

 うーん、本泥棒はしないけれど、まったく読めないチェコ語のラダやザブランスキーの絵本、これも読めないフランス語のペール・カストールシリーズ、まったく読めないイワン・ビリーピンのロシア語の画集、そんなこんなを手に入れたのは誰?それに、図録や絵本なら、まだしも、挿絵の少ない英語の児童文学買ったり・・・え?誰?誰?

 以前の持ち主の名前や献辞の書かれている古本、好きです。それが、子どもの書いた拙い自分自身の名前であっても、読めないような流麗な筆記体であっても、もちろん、作者自身の手によるものであっても。どんな時に手に入れたんだろうとか、どんな場所で書いたんだろうとか・・・こりゃ、やっぱり、読むことが目的でないなぁ・・・うーん。(続く)

*「本を愛しすぎた男: 本泥棒と古書店探偵と愛書狂」(アリソン・フーヴァー・バートレット 築地 誠子訳 原書房)

☆写真は、エリナー・ファージョンの直筆と思われるサイン本二冊と追悼本。左上"Mrs.Malone"(Michael Joseph挿絵)には、「みな様方へ 愛をこめて エリナーより 1955年クリスマス」下"Songs For Music"は、「愛をこめて ネリーからバーティーへ1922年5月24日」とあります。ネリーというのは、エリナー・ファージョンの家族内での通称で、バーティというのは実弟のハーバートのことです。この日付は、この小さなフランス綴じの本、初版の日だと思われます。
 それで、アーディゾーニの挿絵を貼り付けた本は「ファージョン追悼本」(The Eleanor Farjeon Book)です。貼られているのは、「ムギと王さま」の挿絵に、絵の中央窓わき、縦に「V・M・J」と書き加えられたもの。何の頭文字なのか、誰の頭文字なのか?未だわかりません。もともと追悼本についていたサービスなのでしょうか?ファージョンが亡くなった次の年1966年にNaomi Lewis 編アーディゾーニ挿絵でHamish HamiltonLtd.から出版されています。

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