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スカパンの悪だくみ

      60ケーキj
 パリのオルセー美術館でオノレ・ドーミエの「クリスパンとスカパン」という絵を見たとき、狡猾そうな表情の男、その不遜な態度に目が奪われました。また、顔は見えにくいものの、もう一人の耳に囁く男の手や首筋の様子にも目が行きました。そして、全体の画面構成も明暗があって、この二人がよからぬことを口にし耳にしているのだと伝わってきました。そのときは、この絵がモリエールの「スカパンの悪だくみ」という喜劇を題材にしているということを知りませんでした。

 で、月日は流れ、電車用の薄っぺらな本探しをしていると、 「スカパンの悪だくみ」 (モリエール作 鈴木力衛訳 岩波文庫)という本当に薄っぺらい岩波文庫一冊を見つけ、もしかして、あの絵画のスカパンと関係あるの?ということで、読みました。

 簡単に言えば、従者スカパンが若き主人のために一肌脱ぐ話です。シェイクスピアの「間違いの喜劇」ほど長い話ではないものの、そのドタバタぶりは、似てなくもありません。
 
 また、モリエール研究の仏文学者なら、鼻にもかけないとは思いますが、舞台上のドタバタが大阪の誇る吉本新喜劇に似ていなくもないのです。

 考えようによっては、吉本新喜劇もモリエールの喜劇もシェイクスピアの喜劇も、みんな大衆演劇の世界で括れるわけで、その時代時代の客から笑いをとるためには、いろんなドタバタ、バタバタを積み上げ、最後、人情に訴えるハッピーエンディングという点で、似ていると思うのです。

 そんななか、電車で「『吉本新喜劇』と同じやん」と、笑ってしまったのは、老主人と同じ舞台の上に立っているのに、わざと、見えないふりをして、あちらこちら 走り回るスカパン。
 業を煮やした老主人が、
「おいこら!このわしが見えんのか?」
「ああ!旦那さま、どうにもお会いできなくて」
「1時間も前から、わしはここにこうしているんだぞ。いったい、なにが起こったんだ?」
 
 一つわからないのは、絵画の「クリスパンとスカパンCrispin and Scapin」のクリスパンは、モリエールの「スカパンの悪だくみ」には、表記されていません。もう一人の従僕として登場するシルヴェストルのことなんだろうか?

☆写真は、ベリーがいっぱい、おいしかった。(撮影:&Co.T2)

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