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みんなみすべくきたすべく

わたすげ イラクサ あぶら萱

わたすげj
(「ケルト妖精物語」から続き)
(承前)
 「妖精にさらわれた男の子」にも「隊を組んで歩く妖精達」にも「ケルト幻想物語」にも掲載されているアイルランドの昔話がいくつかあります。
 その中で「十二羽の雁」「十二羽の鵞鳥」を読んだ時は、「あれぇー、これアンデルセンの『野の白鳥』と、よく似てる!」

 アイルランド昔話の方は、最後に妖精が出てくるところが、アイルランドらしくて、納得いき、12羽とも羽が消えて、めでたしめでたしなのに、アンデルセンの方は、12人じゃなく11人。しかも、最後の一人分の片袖が間に合わなかったので、末の王子は、片方が羽のまま。

 が、しかし、前半、王女が、魔法にかけられた王子たちを救うために、服を織るところは同じなのです。かけてやるところも。
 ただ、アンデルセンは、編むのも痛くてたまらない「イラクサ」。
「十二羽の雁」の方は、「わたすげ」。これなら、着心地良さそう。
「十二羽の鵞鳥」は、「あぶら萱(がや)」。調べてみると、これって、ガサゴソ ちくちくした感じのする草。

 確かに、山内玲子訳のように≪ワタスゲを摘み、それを糸につむいでシャツを編みつづけた。≫というのは現実的なんですが、ここはやっぱり、編めそうもなくて、編むのに血が出るような「イラクサ」や、イラクサ程ではないにしても、着心地の悪そうな「あぶら萱」の方が、お話の厳しさを伝えるには合っていると思います。それに、鳥にでも、着心地の悪そうな上着、それをを着せると、人間のやわ肌になるというのも、劇的な効果があると思います。(続く)

*「妖精にさらわれた男の子」(山内玲子訳 岩波)
*「隊を組んで歩く妖精達」(山宮允訳 岩波文庫)
*「ケルト妖精物語」(井村君江訳 ちくま文庫)
*「野の白鳥」(大畑末吉訳 アンデルセン童話集 岩波新装版 岩波文庫 岩波少年文庫他)

☆写真は、着心地良さそうなワタスゲ。(ただし。同じスイスで撮ったワタスゲでも、こちらのワタスゲは、もう夏も終わり頃。)

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