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みんなみすべくきたすべく

御殿場の乙女

         カーディフ城庭j
(承前)
 村岡花子さんの生涯を読んでいると、厳しくも熱い心を持っていた人だとわかります。それに、正直。
女友だちとの絶交の件も、若さゆえの正義感と潔癖さ。
許されぬ恋、その熱き思いのラブレターの交換。
宗教に裏付けられた心と、そこから離れてある人間としての想い。
そして、翻訳と子どもたちに向けられたエネルギー。

 村岡花子は、のちに、婦人参政権運動の中心となった市川房枝に、女性人材育成を掲げた夏期講習の合宿で出会います。お互い、無名の教師だったときです。
 そして、その合宿の近くに滞在する西洋人たちが、晴れた日の森で、折りたたみ式の椅子を持ち出して、思い思いの時を過すように、村岡花子も、自分の気にいった木かげを所定の場所とし、本を開き、静かに読書に耽る至福の時を過ごします。

 そんなとき、森を舞台にした愛読書の「リンバロストの乙女」(ジーン・S・ポーター 角川文庫)が、彼女と共にありました。
≪・・・ジーン・S・ポーターは、作家であると同時に著名な博物学者でもあり、ことに森林を愛していた。彼女の作品には、常に森林に住む動物や植物、小さな虫たちの生活が、人間の生活や感情と深く関わりあいながら描かれている。花子の足元にも森の住人、小さな虫が這っていた。木々のざわめきや鳥のさえずりが聞こえている。花子は、森を友として生きる少女の物語を、森の自然に浸りながら読み、働きながら学ぶエルノラの悲しみや喜びを我がことのように感じていた。≫
(「もう一冊の本」に続く)

☆写真は、ウェールズ カーディフ城の春(撮影:&Co.H)

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