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モネ、ゴッホ、ピカソも治療した絵のお医者さん

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「モネ、ゴッホ、ピカソも治療した絵のお医者さん-修復家・岩井希久子の仕事」(美術出版社)
 
 修復には、まず、絵の表面の汚れを取る作業があり、それには、なんと、唾液を用いるという驚きの手法。
名画の8割は、過去の修復でオリジナルの風合いが失われてしまっている、という驚きの事実。

 今まで勝手に思い込んでいた修復家の仕事とは少々イメージが違います。繊細な格闘家のような風情です。しかしながら、これらは、この修復家が、いかにもとの絵画を尊敬し、自分の仕事に誇りを持っているかの証でもあります。

 剥がれた絵具のかけらを拾い、ディズニーアニメのセル画修復をしたのも、朽ちてしまったベトナムの絹絵の修復も凄いものだったけれど、修復前と修復後の山下清の作品を比べたときの衝撃といったらありません。
 
 もちろん、表題のモネ、ゴッホ、ピカソの修復の様子にも興味は尽きませんが、何より、フリーの立場で、仕事をしていく姿に感銘を受けます。そして、母親としての葛藤を背中に背負い、誇り高き仕事をしていった背中を娘たちが見ていたという今の様子にも、思うところがたくさんありました。

 絵画好きな人は、一度、お読みになることをお薦めします。きっと、きちんと勉強した腕のいい修復家が日本に足りない、育てていないという現実に気づき、愕然とするかもしれませんが。
彼女はいいます。
≪・・・自分らしい修復とはなんだろうと考えると、それは作品のオリジナルの風合いを最大限に生かすこと。それをどうやって維持するかにかかっています。  私は世界一、絵に優しい修復をしたいと思っています。世界で通用するような技術で「これはキクコがやった修復だ」と、言われるような修復ができるようになりたい。作家の魂を未来に残すために、作家の思いによりそい、作家の意図したことを伝え、作品にとって最善の状態を保つ修復をしたいと思っています。≫

☆写真は、左上モネ「Vase of Flowers」(ロンドン コートールド美術館絵葉書)
左下はゴッホ「Peach Trees in FLowers」(ロンドン コートールド美術館絵葉書)右 山の稜線の向こうに富士山が見えます。
右上はピカソ「Child with a Dove」(ロンドン ナショナルギャラリー絵葉書)
3点とも、上記本には出てきません。

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