FC2ブログ
 

みんなみすべくきたすべく

若冲と売茶翁

売茶翁j
 (承前)
 京都 宝蔵寺所蔵の「竹に雄鶏図」(写真、下に写るカード)が、若冲の初期の作品だと、みなされたのは、ごく最近のことで、初公開のようです。他の鶏図と同じように、勢いのある筆使いの鶏でした。正面を向いているので、ちょっとぽっちゃり感があります。
 そして、その隣にかかっていた拓版画「髑髏図」(写真、左のパンフレット)は、インパクトのある図柄もさることながら、そのキャプションをみて、びっくり。
 「売茶翁高遊外賛」とありました。画にも「一霊皮袋 皮袋一霊 古人之語 八十六翁 高遊外」とあります。
おお!これは、まさしく、この拝観当日の朝刊(写真右上)に出ていた「売茶翁」ではありませんか。

 朝刊の記事は、在日アメリカ人の学者がこの売茶翁という禅僧の生涯・思想を英語の伝記にしたという記事でした。
 掲載されている絵のおじいさんが売茶翁らしく、描いたのは伊藤若冲です。
 つまり、その朝まで、全然知らなかった売茶翁関連の絵、それも若冲によるものを二枚も、その日に目にしたということです。

 記事によると、売茶翁の肖像を若冲や池大雅のような当代屈指の絵師がこぞって描いたのも、それを欲しがる人が多かったからだとあります。・・・売茶翁 WHO?

 「僧の中には貪りの心を持ち、施しの多い信者にこびへつらったり、布施を求めてはかりごとをしたりする者もいる、それよりは茶売りをしながら、修業をする方がよい」と喝破し、当時の宗教界の退廃を鋭く批判し、都の市街やその名所で煎茶を作り教えを説いた生き方が、人々の共感を呼んだと、ありました。

 宝蔵寺で見た「髑髏図」は、売茶翁の肖像画ではありませんが、その人の言葉を欲しがった当時の人々のために生まれたものだったのかと思うと、一枚の掛軸が、より一層身近に思えました。
 この、日頃、非公開の若冲の作品ですが、2月8日が若冲の誕生日だったこともあり、公開されたようで、しかも、来年は生誕300年らしく、今後も誕生日頃には、見られるのではないかと、見逃した人にも希望的観測が・・・

PageTop