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そばかすの少年

      グリーンノウアプローチj
 (承前)
リンバロストの乙女」も「そばかすの少年」もリンバロストの森での少女と少年の物語です。
 昨日も書いたように、100年前の価値観が大きく出ている成長物語でもあります。
 が、しかし、現代にも通じるテーマが書かれています。
 「児童虐待」です。片や、ネグレクトというものに近く、片や、実は虐待ではなかったものの、その疑いがなかったわけでなかった・・・という設定でした。

 「そばかすの少年」は、名前がなかったのです。「そばかす」というのが、顔にそばかすがあった彼の名前でした。しかしながら、彼の勇気と誠実さは、人の心の善意を呼びおこし、たくさんの人の支えを得ていきます。

 出来すぎでしょ?と思うような話の展開も、彼のそれまでになめてきた苦労を思うと、よかったね、と思わず、彼に駆け寄り、握手をしたいくらいです。しっかり、握り返してもらえる左手で。彼は、左手しか使えませんでしたから。

 そばかすは、森に自分の「部屋」を持ちます。「植物学者が見たら、大騒ぎしてうらやましがりそうな光景」の自分の「場所」でした。
≪そばかすは、物入れの扉を一辺の壁にして、大きな『部屋』をつくっていた。木の枝にからまる大ぶりの野ばらのつるが部屋のほかの三方を囲み、壁の一部はマロウとハンノキ、イバラ、柳、ミズキでおおわれている。下のほうは、ぎっしりと咲き誇るカルミアの薄いピンクの花と、黄色いセントジョーンズワートの花で埋めつくされ、ネナシカズラの黄褐色の糸のように細いつるが、あちこちにからまっている。部屋の一方のすぐ近くに湿原が迫り、蒲がぼうぼうに茂っているのだがその手前に水ヒヤシンスを一列、青い花の美しさを損なうことなく植えこんだ。そこからそばかすの部屋に続くのぼり斜面には、いまにも花が咲きそうな狐火花を一列に植えた。・・・・≫
 と、この後も花やつる性樹木が次々植えられ、ここに続く箇所だけでも、他に、ざっと20種の植物名が、列記されています。
 そばかすを勇気づけ励ましたのは、周囲の人間と、大きな自然だということがわかります。

*「リンバロストの乙女 上下巻」(ジーン・ポーター 村岡花子訳 角川文庫)
*「そばかすの少年」(ポーター 鹿田昌美訳 光文社文庫 /村岡花子訳 角川文庫)

☆写真は、英国ヘミングフォード村 グリーン・ノウシリーズの舞台となったマナーハウスの庭。

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