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みんなみすべくきたすべく

二月の鳥

       冬の河口j
 (承前)
 「リンバロストの乙女」「そばかすの少年」の作者ジーン・ポーター(1868~1924)は、「博物学者として著作もあり有名であるが、若い人に人生の方向を示す作品に主力を注いでいる」と、村岡花子氏のあとがきにあります。確かに、主人公たちは、大変な苦労をしながらも、前に進む勇気ある少女・少年です。そして、主人公たちは、大きな幸せを得、成人する・・周囲には、厳しい人間も存在するものの、ほとんどが、その主人公にとって、力になってくれるいい人で、お金や功を成すことが、幸福の到達点でもある・・・と、まあ、わかりやすい100年前のアメリカの価値観で描かれた二冊です。

 この二冊で特筆すべきは、細かい自然描写です。
 森に住む蛾の標本で学費などを生みだすリンバロストのエルノア、森番として、一日のほとんどを過す、そばかす。物語のキーワードとして、あるいは、伴奏として、自然が大きな役割を担っています。
 作者は、博物学者でもあるだけに、その自然描写は、特に丁寧で、目に見えるようなシーンが多く書かれています。

 さて、「リンバロストの乙女」エルノアの母親が、二月のことをこう、表現します。
「二月は冬鳥のものだよ。沼地のみみずくが求愛したり 鷹が番ったり、からすでさえ知恵づくのは二月だからね。こういうものは正真正銘のわたしたちの鳥ですよ。貧乏人のように、わたしたちはいつでもこの鳥たちと一緒にいますからね。おだやかな晩、この二月の沼地の音楽家たちの声をお聞かせしたいですよ、フィリップ。ああ、その真剣なことといったら!二十一年間というもの、わたしは夜はみみずく、もっと小さいふくろうや、狐や、あらいぐまなど、この森にのこっているあらゆる住民の声を聞き、昼は鷹や、こがねしとどや、きつつきや四十雀、からすなど、冬の鳥すべての声に耳をすました。 たった今、思いついたのだけれど、二月の特徴は麻晒しでもなく、砂糖作りでもない、わたしたちの鳥の愛の月ですよ。・・・」(続く)

*「リンバロストの乙女 上下巻」(ジーン・ポーター 村岡花子訳 角川文庫)
*「そばかすの少年」(ポーター 鹿田昌美訳 光文社文庫 /村岡花子訳 角川文庫)
☆写真は、ご近所、二月の河口。

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