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みんなみすべくきたすべく

餌をなげられた魚のように

           くまのみj
(承前)
 石井桃子は「プーと私」(河出書房新社)に収録されている「『ドリトル先生』の作者とヒュー・ロフティングという人」の中で、ロフティングのことを、こう書いています。
≪「ドリトル先生」の物語は、どれも奇想天外な事件にとみ、ユーモアにあふれ、読み終わったあとで、「われわれは、みなきょうだい」という、あたたかい気もちを私たちのなかにのこしてくれます。……(中略)・・・ほんとうの人間らしさというもの、お金や位や、学問や見えや、そういうものに左右されない、ほんとうに人間としてもっていたいあたたかい心、それをもって貫きとおしたドリトル先生というひとりの人物を、生き生きとつくりだしたという点で、私は、ロフティングをほんとうにえらいと思うのです。   ロフティングのなかに、ドリトル先生のような気もちがなかったら、ドリトル先生はつくりだせなかったでしょう。ロフティングは、気もちのうえで、ドリトル先生にかなり似た人であったにちがいないと、私は考えます。≫

 続いて、アメリカの図書館でロフティングが、子どもたちを前に話したエピソードがアメリカの図書館員の言葉で紹介されます。≪子どもたちは、目をおさらのようにして、「餌をなげられた魚のように、その人の話にくいついた」・・・≫そして、子どもたちは、目の前に立って話している、背の高い立派な紳士こそは、ドリトル先生その人だと考えてしまったと、書かれています。

 ふむ、ふむ。さて、さて、私自身にしても、その場にいたら、「餌をなげられた魚のように、その人の話にくいついた」と思います。ドリトル先生はやっぱり実在しているんだ!ほらね。と。(続く)

「ドリトル先生シリーズ」 (ヒュー・ロフティング 井伏鱒二訳 岩波)
☆写真は、沖縄の海。くまのみ(撮影:&Co.A)

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