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みんなみすべくきたすべく

歌えなかった

歌う人j
(承前)
「唱歌・童謡ものがたり」
 (読売新聞文化部 岩波現代文庫)の71曲の中で歌えなかったのが10曲程度ありました。

 その中の一曲、「桜井の訣別」(作詞 落合直文 作曲 奥山朝恭)
 題名を初めて目にしたなら、歌詞も初めて(なんと!6番まである)。
 これは、歌えないので本文を読んでみることに・・・

 すると、戦前の日本人なら知らない者のない唱歌とありました。≪主人公は、大楠公・楠木正成・正行父子。神戸の湊川の戦いを前に、父が息子に後事を託し、涙を払って死出の旅に赴く。「太平記」屈指の名場面の背景に<青葉>を設定した直文の美意識と文学的感性の鋭さには、脱帽するほかはない。≫
 ふーむ、戦後生まれなので、知らない。
 かつて、この所縁の地、湊川神社で、この歌のテープを流していた・・・とも書いてありました。私も幼い頃、よく行ったことのある湊川神社ですが、聞いた覚えがない。(蛇足ながら、神戸の人なら、この湊川の神社のことを楠公さんと言います。)

<…忍ぶ鎧の袖の上に…>
<…父は兵庫に赴かん 彼方の浦にて討死にせん…>
<…御供仕えん死出の旅…>
<…己れ討死為さんには・・・>
<…此世の別れの形見にと…>
<…あわれ血に泣く其声を…>
 といった文言が1~6番まで入っています。やっぱり、知らない。

 本文には、こんなことが書いてありました。
≪名曲は時代を越えて生き続けると言われる。本当にそうだろうか。いかに優れた歌でも社会の変動とともに否定され、忘れられてしまうという実例はいくらでも存在する。まして、軍歌や戦前の国民唱歌のように、当時の国家の要請に呼応して人口に膾炙(かいしゃ)した歌はなおさらである。・・・≫

 が、この歌を全く知らない戦後生まれの私は、思います。愛される歌は、やっぱり歌い継がれるし、国を越えても愛すべきメロディは引き継がれるのではないかと。時代を越えて生き続ける魅力のある歌は、口伝えで伝わっていくはず。だから、この「桜井の訣別」は、当時、皆が知っていて名曲だったとしても、歌い継ぎたい愛唱歌ではなかったのですね。いかんせん、この歌のことしらないのです。

☆写真は、スイス ベルン 大聖堂。お口から歌じゃなくて雨が出る。

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