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ベン・シャーン 線の魔術師

ベン・シャーン展j
 2011年末~2012年夏まで「ベン・シャーン クロスメディア・アーティスト――写真・絵画・グラフィック・アート」という美術展が、神奈川・名古屋・岡山・福島で開催されているのを知っていました。沼辺信一さんがブログ何度か熱く語っておられ、しかも講演なさり、芸術新潮2012年1月号で「ベン・シャーンの声絵が聴こえるー辿りついたグラフィック・ワーク」と、熱い思いで執筆されていたのにも関わらず、足を運ばなかったことを悔やんでいました。
 そうしたら、なんと、伊丹市立美術館で「ベン・シャーン展 線の魔術師」開催。(~2013年12月23日)これは「丸沼藝術の森の所蔵品展」ですから、先の回顧展より規模が小さいものの、「線の魔術師」としてのベン・シャーンに出会う機会でした。

 力強い線は、見る者に、ぐんぐん迫ってきます。描くと言うより、訴える。言葉じゃないのに、絵が物語る。
 
 ハレルヤシリーズの原画は、壁一面で輝き、シェイクスピア「ハムレット」のための絵は、原作の力に迫る筆力で、見るものを魅了します。リルケ「マルテの手記」に基づく「一行の詩のためには・・」のシリーズのある空間では、力強さは削がれ、静謐で落ち着いた空気が流れています。

  展示作品は、本になるために、描かれた作品も多く、その文字(英語・イディシュ語)の美しさも一緒に味わえます。もちろん、製本された本自体も展示されていますが、やっぱり、原画は美しい。
 そして、直筆の原画や習作も多く、そこからは、ベン・シャーンの息づかいを感じることができたような気がします。一本の線で表現しうる奥の深さ。
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 「6ペンスの唄をうたおう」の著者ブライアン・オルダーソンは、線描についてウィリアム・ブレイクの言葉を引用しながら、こう、言います。≪・・・色彩には人を惑わせる性質があります。ごまかしに敏感な目をもっていたウィリアム・ブレイクは、色彩が突出すれば、イラストレーターが線で表現できることや、あるいは、できないことから人々の目をそらす、と言って色の本質的危険性をよくみていました。彼ははっきり言っています。『絵画作品で要求されるのは美しい色合いではなく、美しい形である。美しい形をともなわない美しい色合いはつねに無能者のごまかしである』(ベントリィ編『ブレイク著作集』第Ⅱ巻1029ページ、「演説」1ページ)と。≫
(続く)
*「6ペンスの唄をうたおう」(ブライアン・オルダーソン著 吉田新一訳 日本エディタースクール出版部)

☆写真は、ポスター様の案内の上に右から図録「ベン・シャーン 線の魔術師」伊丹美術館チケット、左端は「ベン・シャーン クロスメディア・アーティスト――写真・絵画・グラフィック・アート」の図録。絵は、「愛にみちた多くの夜の回想」

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