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みんなみすべくきたすべく

それからのエリーゼ

日比谷公園j
(承前)
「それからのエリス――いま明らかになる鷗外「舞姫」の面影」 (六草いちか 講談社)
 二冊の著書で、鷗外研究に転機をもたらしたと言われる六草いちか氏ですが、
≪この作品に秘められた真実を知らなかったあのころは、『舞姫』は女性である私にとってたんなる「むかつく小説」であり・・・≫としています。(ほんと、そう思います。)
 それが、「舞姫」のモデルを特定し、舞姫のその後を追跡し、その晩年を知ることにより、あるいは、また、「舞姫」がドイツ語で連載された貿易・産業月刊誌に出会うことにより、「舞姫」に秘められた森鷗外、否、森林太郎のエリーゼ・ヴィーゲルトへの想い、そして二人の純愛を確かめています。
 
 新聞にも出た写真のエリーゼは、「舞姫」という美しい日本語のイメージとはちょっと異なる、立派な体型の中年女性です。が、しかし、写真の裏を利用して書かれたメッセージの明るい口調に比べ、なんと、寂しげな表情でしょう。「それからのエリス」には、その表情のアップ写真も掲載されていますが、その瞳の、なんと暗いこと。

 忍びよる第一次世界大戦のせいだけではないでしょう。(写真撮影推定1908~1918)彼女の命がけの恋(なにせ、そんな時代に、一人で日本に来たんですから!)の末路を見るようで哀しい。間違いなく、彼女は気丈で理知的な女性だったに違いないのですから。
 そして、六草氏がいうように、鷗外はベルリン地元新聞「ベルリナー・ターゲブラット」を定期購読し続け、その新聞にのみエリーゼが「書状にかえて」と夫の死亡広告を掲載していた事実に、時代に阻まれた遠距離純愛を見ました。

☆写真は、東京日比谷公園 

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