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それからのエリス

トリニティレーンj
(承前)
「それからのエリス――いま明らかになる鷗外「舞姫」の面影」
(六草いちか 講談社)
 さて、「鷗外の恋――舞姫の真実」の後も、舞姫エリスのモデルのエリーゼが、どう生きたのかを検証していった著者の第二弾。
 前作同様、またもや、著者は、綿密な調査を続けます。教会、墓地、当時の新聞など。そこには、結婚出産、葬儀、宗教の背景、繋がりを見るだけでなく、ドイツという国の犯した大きな波も含みます。古地図だけでなく、実際に住んでいた建物の設計図の復元など、専門の学者ではない著者だからこそできた広い視野。
 特に、第二次世界大戦前後の、ベルリンの様子など、一本の論文が書けそうな勢いです。
 ただ、論文と違うのは、著者が、いつもエリーゼに寄り添っていることです。
 そして、話題になったエリーゼの写真と遭遇。
 地道で丁寧な研究についたご褒美ともいえます。
 
 また、論証の厚みを加えるように、ドイツ語訳された「舞姫」(当時、日本人がドイツ語に訳した)からも迫っているところなどは、執念みたいなものを感じます。多分、学会や本来の研究者からの風当たりや反論を避ける手立て、実証は、いくらでも必要でしょうから。・・・・奥が深い。
 
 それにしても、まだ、100%謎が解明されたわけではなく、六草氏は「終章」としているけれど、この著者、この研究から足を洗えるのかなぁ・・・(続く)

☆写真は、英国 ケンブリッジ トリニティレーン

 

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