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聖なる酔っぱらいの伝説

カクテル柿j
(承前)
「聖なる酔っぱらいの伝説 他四篇」 (ヨーゼフ・ロート作 池内紀訳 岩波文庫)
 この文庫本には、5つのお話が入っています。
 読みやすそうな表題の「聖なる酔っぱらいの伝説」から読みました。このお話運びが秀逸なのです。・・・と、今頃知ったのですが、とっくに映画化されるくらい有名な話だったよう。

 岩波文庫表紙絵の聖女テレーズに借りを返そうと努めるも、日々、煩悩に負けてしまう弱い人間の性(さが)が描かれています。立場や時代が違っても、人間の弱さは普遍的なものですから、感情移入しやすい。
 それに、話運びがうまい。リズミカルなのです。ほとんど、酩酊気分になったことがない私すら、ついふらふらと読み進みます。

 この「聖なる酔っぱらいの伝説」は、作者45歳の死後3カ月で刊行されたものだとあります。軽いタッチで重いテーマをさりげなく描いた遺作です。
 解説には、デビュー作の「蜘蛛の巣」から、中期の作品、最後の作品「聖なる酔っぱらいの伝説」までを入れることによって、作家としての全貌がわかるようにしている、とありました。個人的には、結末に満足いかない話があるものの、どの話も、話運びがうまい。
 とはいえ、巻頭のデビュー作「蜘蛛の巣」は最後まで読みにくかった。(続く)

☆写真は、吉野杉のコースターに朴葉(ほおば)を敷いた上に、ウィスキーと柿のジェルと大和茶のカクテル、緑は大葉。お酒というより、甘い飲み物って感じです。

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