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みんなみすべくきたすべく

みがけば光る(その2)

         アイガーグレッチャー人工池j
 石井桃子エッセイ集「みがけば光る」 (河出書房新社)に『おんなと靴下』(週刊文春1961年4~5月号文芸春秋)という短期連載の文が載っていて、その中の「お子さまむけ」という文は、「ソ連児童図書と挿絵の原画展」と「スイス図書展」に出掛けられたときの文章です。

≪・・・まず、スイス展にはいって、その本のつくり方のすばらしさに目をうばわれた。内容はドイツ語で読めなかったが、しかし、あの美しい印刷、紙質を見ると、その内容だけが貧しいだろうとは考えられなかった。堂々たるおとなの本にまじって、子どもの本も心がおどるようにすばらしかった。この展覧会に出してあるのは、その国の最上のものだというなかれ、美術的センスでは世界から尊敬されている日本では、最上等の子どもの本でも、けっして美しいとはいえない。日本ではお子さまむけといえば、どうでもよいということである。・・・・・・≫

 この文が書かれて50年以上経っています。ここに引用した最後「日本では、お子さまむけといえば、どうでもよいということである」という厳しい言葉。
 50年以上を経て、「いえ、そんなことはありません。」と、はっきりと応えられるのは、その当時、子どもだった私たちのはずなのです。「どうでもよい」とまで、思わぬにせよ、上っ面だけ繕って、子どもやその周辺の教育、福祉が、華美に、しかも騒々しくなっているだけではないのかと、思う今日この頃。いの一番に改善されてしかるべき、人を育てるということ・・・それが後回しになっていないか。50年以上前の子どもも危惧するのです。(つづく)

☆写真は、スイス クライネシャイデック近くの人工池。腕のいいカメラマンなら、逆さアイガーが撮れる。

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