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みんなみすべくきたすべく

同じ絵でも

二頭立て馬さんj
 (「はだかの王さま」から続き)
(承前)
「暮らしのイギリス史 王侯から庶民まで」(ルーシ・ワースリー著 中島俊郎・玉井史絵訳 NTT出版)には、「オエッ」・・・こんなえぐいことしてたん?とか、現代だったら、毒であったり、禁忌事項なのに・・・ということが紹介されたり、人々の暮らしを「のぞき見」するのは、ちょっと愉快です。
 また、今や常套句になっているような言い回しの語源の説明も興味深く、細々と少々強引に切りこんだ私見も楽しい一冊でした。今を生きる英国人学芸員の女性の視点は、なかなか面白いもので、本の後書きで紹介されている彼女のWEBサイトも楽しく、また、現在、BBCで、彼女のテレビ番組も放映されているようです。
 歴史を難しく捉えるのではなく、親近感を持って、近寄れるようにしている気がします。彼女の写真を見ると、しかめっ面の学者というより、どこにでも居そうな人のいいお姉さん。

 それで、たまたま、図書館で同時に借りていたのが、 「風刺画で読み解く18世紀のイギリス―ホガースとその時代」(小林章夫・齊藤貴子著 朝日選書)。ホガースの風刺画から、その頃のイギリスの風物にアプローチした本です。

 この2冊の本に同じホガースの絵(娼婦一代記第六図「お葬式風景」)が出ていて、片や「第6章 男と女の性と堕落」、片や「第三部 居間の歴史 第33章葬儀」で、使われておりました。 

 まず、「風刺画で読み解く18世紀のイギリス」では、棺桶の上の書き付けや、棺桶の前の遺児について読み解き、集まっている女たち(仲間の娼婦たち)が罹患している病や、棺桶をバーカウンターの代わりにジンを飲んでいる様子、あるいは、不埒な聖職者等、「娼婦一代記」の結末を紹介することによって18世紀のイギリスを読み解いています。

 一方、「暮らしのイギリス史 王侯から庶民まで」では、当時の驚くべき「葬儀」の様子の紹介に紙面を割いた後に、絵が掲載されます。
≪・・・ひとかどの人物ならたいていは居間に安置された教区教会の「弔いの鐘」が響くなか、会葬者がローズマリー、ヘンルーダの枝をささげ弔問に訪れたのであった≫と、弔いの枝を持っている手などに目がいきます。こちらは、トリミングされているので、不埒な聖職者など見えないのです。
 
 着眼点が違うと、同じ絵でも異なる絵のように見えます。(「ホガースのこと 1」に続く)

*ローズマリー 消臭効果が高いハーブ (和名:マンネンロウ・・・ふーむ、思い出す大事な本がある、ある。嗚呼。)
*ヘンルーダ 駆虫剤として使われるハーブ 

☆写真は、英国ハンプトンコートの二頭立て馬さん(撮影:&Co.H)

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