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みんなみすべくきたすべく

映画「アンコール」

          マーローグリーンj
25年目の弦楽四重奏」から続き
(承前)
 T.S.エリオットの詩「四つの四重奏」(バーント・ノートン)を初めて読んだ時、私の心に沁み、ある意味、私を支えてくれた一行があります。(第Ⅰ楽章最終)
「人間はあまりに多くの真実には耐えられない」

 T.S.エリオットの詩を引用したのは、映画「25周年の弦楽四重奏」でしたが、もう一本見た、映画「アンコール」(原題:Song for Marion)にも、エリオットの詩につながるものを感じました。ただし、結末の方向が違うけれど。

 映画「25周年の弦楽四重奏」が、プロの音楽家たちの話で、世に知らしめたベートーベンの音楽。片や、映画「アンコール」は、素人の老人合唱団の話で、その選曲もポップで軽い。しかも、二回のソロも、決してプロの歌手というわけには行きません。

 二本の映画はどちらもよかったのですが、結論から言うと、英国映画びいきの私は、「アンコール」の方が映画として好きです。かつての映画「ブラス」「カレンダーガール」「リトルダンサー」等の英国地方都市の人たちの暮らし、労働者階級のささやかな楽しみや哀しみ、それがささやかで大きな喜びにつながって行く英国映画が好きです。もちろん、英国の風景を見たり、お城やマナーハウスの設えを見るのも好きですが、やはり一番は英国人情物です。いつも、ティ-タイムあるし・・・。

 「アンコール」の老人合唱団もみんなでバスに乗って、ロンドンに繰り出します。「ブラス」もそうでした。「リトルダンサー」でも、なけなしのお金でロンドン行きのバスに乗りました。きれいな風景こそ映りませんが、そこに英国を感じることができるのです。

 が、しかし、今からこの「アンコール」を見に行く人には、一言あります。号泣しちゃいます。あまり上手とはいえないけれども、その思いが伝わるマリオンの歌(がんの再発で余命いくばくもありません)。頑固一徹のアーサーの歌。
 うまい歌、いい声だけが、人の心をつかむのではないのがよくわかります。
頑固一徹のアーサーは、その演技も素晴らしく、往年のハンサムスターのいい味を味わえる映画でした。
 
 たくさんの楽しい歌も、最後に流れるセリーヌ・ディオンの歌(Unfinshed Songs)もよかったわ。

*「四つの四重奏」(T.S.エリオット 岩崎宗治訳 岩波文庫)

☆写真は、英国マーロー、ちょっと観光エリアからはずれた普通の集落。

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