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みんなみすべくきたすべく

文人悪食

                  シャングリア夕陽j
(「焼麺麭(トースト)」から続き)
(承前)
 嵐光三郎の「文人悪食」には、37人の文人たちの食へのこだわり情報が収集してあります。(以下、引用は、孫引き)
 
 夏目漱石は、胃弱といえども、食べることが大好きだったようで、特に甘いもの・・・で、胃潰瘍と強度の神経衰弱で入退院を繰り返すものの食べることには、執着し続けたようです。そして、好物はアイスクリームとビスケットで、日記に≪粥もうまい。ビスケットも旨い。人間食事の旨いのは幸福である≫

  そして、臨終の様子を次男夏目伸六は、次のように記します。
≪ふと眼を開けた父の最期の言葉は、「何か喰いたい」という、この期に及んで未だに満し得ぬ食欲への切実な願望だったのである。で、早速、医者の計いで一匙の葡萄酒が与えられることになったが、「うまい」 父は最後の望みをこの一匙の葡萄酒の中に味わって、また静かに眼を閉じたのである。≫ 
 
 というちょっとお茶目な漱石の臨終です。それに比べ、森鴎外は、なかなか厳しい臨終だったようです。などなど、「文人悪食」という本、文人たちの食のエピソード満載で、気楽に読めます。他の漱石関連本とずいぶん違いました。ホッ。

「文人悪食」 嵐光三郎 新潮文庫

☆写真は、夕陽の沈む東京都心。

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