FC2ブログ
 

みんなみすべくきたすべく

読んでから見る

ウォーターハウスj

(「The Three-Cornered World」から続き)
(承前)
 確か夏目漱石「草枕」の一部は高校の現代国語の教科書に出ていたのだと思います。その時が、私にとっての初見。そのリズムのある文章は印象的でした。全文を読むために、文庫本を買ったと思いますが、それはあくまで、現代国語の続きで、中身の芸術論はよく理解できない学力でした。

 次は、絵本という観点から「物語る絵」をもっと知りたいという思いが高じ、英国ラファエル前派にはまっていた20年近く前、「草枕」や「倫敦塔」「幻影の盾」「薤露行」等を再読しました。「夏目漱石も、ミレイのオフィーリア見たんや」

 で、今回、また読んでみたのは、現在、東京藝術大学美術館で催されている「夏目漱石の美術世界展」(~2013年7月7日)のキャッチコピーに「みてからよむか」というのがあって、いやいや、「読んでから見よう」と思ったからです。先日のグレン・グールドや、以前の「自転車に乗る漱石」等もその流れの中でした。とはいえ、そもそも膨大な量の夏目漱石の作品とその関連そして研究、ほんの氷山の一角しか読めなかった・・・・

 歳をとって、読みなおすと、昔と全然違う文字が見えてきます。高校のとき現代国語で習った「草枕」とは別物のよう。また、資料として読みとろうとしていた前回のときとも、違う文字が見えました。こうやって、古典と呼ばれる数々の文学を、歳を経て読むのが、最近の楽しみの一つです。当然ですが、夏目漱石も奥が深く、何より語調がよく、文が流れるよう。(ただ、時折見え隠れする、この人の高飛車な物腰にはなじめない・・・が、そこが面白いとも言えますが。)

 そこで、本に居並ぶ美術品が一堂に会したら、きっと楽しいだろうなと、「読んでから見る」夏目漱石の美術世界展に、行きました。英国から来日した作品の何点かは、現地で見たものでしたが、今度は、漱石目線で作品に近づく面白さがありました。
 芸術は、人それぞれ、時代や時期それぞれ、いろんな楽しみ方ができるので、きりがありません。
(「上野に行ったお上りさん」に続く)

☆写真は、夏目漱石の美術世界展図録のウォーターハウス「人魚」の上に、英国RAのポストカード、今回のチケットを並べてみました。

★ウォーターハウスの「人魚」と思しき作品については夏目漱石「三四郎」(岩波文庫他)に書かれています。

PageTop