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みんなみすべくきたすべく

ちびの靴屋

ぐみj
 (「アイザック・バシェヴィス・シンガー傑作選」から続き)
(承前) 
 好みから言うと、シンガー傑作選「不浄の血」*の中では、「ちびの靴屋」の話が好きです。大体、題名からして、子どもの本に近そうで、書きだしからも、シンガーの他の子どもの話に近そうで、親近感を持ちました。

 先祖代々、ちびの靴屋として生きて来た一族の話です。時は流れ、現代の子孫が国を離れアメリカで成功し、一人残った父のところには、ヒットラーの影が迫り、逃げ、そして、成功した息子たちのところに逃げ伸びる・・・という波乱万丈の一生の話と言えばそうですが、時々挿入される、ユダヤの古歌によって、彼らの厳しい人生にほっと一息の風が流れ込みます。また、その昔話の様な語り口に、次へ次へと引き込まれ、一気に読んでしまいます。

≪お母さんがおりました
 子どもを十人産みました
 なんてこったい、十人もの子・・・・
 一番目はアヴロム
 二番目はベイル
 三番目はギンプル
 四番目はドヴィド
 五番目はヘルシュ  (ユダヤのアルファベット順) 
       ここで子どもたちは一斉に合いの手を入れる。
おっとどっこい、ヘルシュちゃん!・・・・

 お母さんがおりました
 子どもを十人産みました
 なんてこったい、十人もの子・・・・
 六番目はヴェルヴル
 七番目はザインヴル
 八番目はハナ
 九番目はテヴィエ
 十番目はイドル (ヘブライ文字の六番から十番まで)        
         そして、息子が声を揃えて最後の部分を合唱するのだった。
おっとどっこい、イドルちゃん!・・・≫
(「ティシュフツェの物語」に続く)

*「不浄の血」アイザック・バシェヴィス・シンガー傑作選  西成彦訳 河出書房新社
**この「ちびの靴屋」は「ばかものギンぺルと10の物語」(アイザック・B・シンガー 村川武彦訳 彩流社2011)の中に「小柄な靴屋たち」として入っていますが、上記歌の訳し方が調子のよい西成彦訳が好みです。

☆写真は、散歩途中のビックリグミ。

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