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みんなみすべくきたすべく

清水をふつふつと

                クリブデン水j
(「さすらうもの」から続き)
(承前)
 「ヘンリー・ブロッケン」の冒頭に、デ・ラ・メアの好きな詩を見つけたときは、とてもうれしかったのですが、世界幻想文学大系36「ヘンリー・ブロッケン」には、このお話以外にL.クラーク(1905-1981)という詩人で詩選編集者の「デ・ラ・メア論」と訳者鈴木耀之介の「デ・ラ・メア論」、それに年譜・書誌・文献目録が収録されていたのも収穫でした。

 特に、L.クラークの「デ・ラ・メア論」には、深い洞察に基づく論評もさることながら、今まで邦訳されていなかった(と思われる)デ・ラ・メアの詩がたくさん引用されているのが、とても嬉しい発見でした。

 クラークは言います。≪デ・ラ・メアは亡くなるまで、魅力的な英語の清水をふつふつと湧きださせつづけた。その泉の清水をごくごくと、あるいはちょっとだけ口をつけて飲んだ者は数多くおり、しかも、その泉の力強さと魅力に多少なりとも動かされなかった者はほとんどいなかった。≫

 英語圏に生まれていないので、その清水をごくごくとやるわけには行きませんでしたが、まだまだ新しい詩に出会えるのは、嬉しいことでした。ここに書き付けて備忘したい詩がたくさん・・・

 で、デ・ラ・メアが晩年に書いた『肖像画』という詩の一部です。

≪年はとったが相変わらず――――今もくだくだとつまらぬ考えごと
 いまだに本や雑誌に熱中している
 堅苦しい束縛や 義務に責められることも少なくなったが
 それでもなお空論に没頭している

 いまだに子どもみたいで インク壺や細々としたものの上に
 小さな玩具があればごきげん―――――
 人生とは 骨の折れるはかなくて純粋な喜び
 その魅力はなくなるどころか―――――増してゆく!
 ・・・・・≫ (「最高の書き手」に続く)

*「ヘンリー・ブロッケン」(W・デ・ラ・メア 鈴木耀之介訳 国書刊行会 世界幻想文学大系36)
☆写真は、英国 クリブデン宮殿庭園

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