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みんなみすべくきたすべく

アーモンドの木

       キフツゲートj
 (「孔雀のパイ」から続き)
(承前) 
 以前に、アーモンドの花の写真を紹介したら、ウォルター・デ・ラ・メアの「アーモンドの木」を思い出したとメールをいただきました。
 え?デ・ラ・メアに、そんなんあった?
で、教えてもらうと、 「なぞ物語」 (野上彰訳 フレア文庫)にありました。
読み返すと、思い出しました。なんだか切ないお話だったことを。

 すっかり、この話の題名が「アーモンドの木」というのを忘れていました。
 今回、読んでみると、確かに「アーモンドの木」が出てきました。ほんの一行です。読みとばしても話の流れに支障がないかのようです。でも、もう一回、丁寧に文字を追いました。何故、題名が「アーモンドの木」なのか。
≪・・・また、この日、アーモンドの木の枝に、かたくとじたつぼみをはじめてみつけたことも覚えている。≫と物語の行く末を暗示しているではありませんか。・・・ほんと、「読み」が足りませんでした。
 
 そして、この小さな作品には、目に見えるように描かれた表現がたくさんあって、ウォルター・デ・ラ・メアの妖しくも美しい世界へ誘い込まれます。
≪・・・その家はヒースがおいしげっている広い荒野のはずれにあって、小さな緑のくぼ地につづいていた。五つある二階の窓は、丘の急な斜面にそってだらだらと下につづいている村、その村の風見の塔を、東に遠く見はるかしていた。緑の古い庭を歩きまわると――ああ、リチャード、クロッカスやにおいあらせいとうやすみれの花が、なんて美しかったろう。夕がたなら、まだ刈り入れのすまない畑、夕空にまたたく星が影を落としている暗いあぜのみぞが見える。その少し南にある丘の上には、もみの林やしだのやぶがうねうねとつづいているのも見えるんだ。・・・≫     (「さすらうもの」に続く)

*「なぞ物語」(野上彰訳 フレア文庫)

☆写真は、英国コッツウォルズ キフツゲート・コートガーデンから見晴らす

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