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みんなみすべくきたすべく

濃霧 鳶色 快晴 青色

ハンプトンコート5月j
 「自転車に乗る漱石―百年前のロンドン」 (清水一嘉著 朝日選書)に、こんなことが書いてありました。
≪・・・この霧(スモッグ)が人々の健康によくないことは確かだし(かれらはハンカチを口に当てて戸外を歩いた)、それのみか濃霧の日は昼間でも辺りは暗くなり、商店や民家はあかりを灯し、夜ともなれば漆黒はさらに度を増す。鉄道線路のフォッグ・シグナルは爆発音をひびかせ、子供も大人も松明をたよりに手探りで道を歩く。・・・≫
 
 ひぇー!!! ディケンズ(1812-70)が、ロンドン名物と言っていた昔のロンドンの霧って、こんなに濃いかったの?
 それが、今やどう?この写真の空の青さ!(2013年5月1日 ロンドンから鉄道で30分余のハンプトンコート。撮影&Co.H)この写真を送って来た娘への返信には、「英国の隣国がアイルランドでよかったね。」と書きました。最近、日本も風向きが変わったのか、少しは青空も増えたけど、4月は、かすんだり、濁ったり、白かったり、青くなかった・・・

 美文を旨とする夏目漱石は、1900年にロンドンに着き、後に、こう書いています。
≪・・・倫敦に固有なる濃霧は殊に岸辺に多い。余が桜の杖に頤を支えて真正面を見ていると、遙かに対岸の往来を這い回る霧の影は次第に濃くなって、五階立の町続きの下から漸々この揺曳く(たなびく)ものの裏に薄れ去って来る。仕舞には遠き未来の世を眼前に引き出だしたる様に窈然たる空の中に取り留のつかぬ鳶色(とびいろ)の影が残る。その時、この鳶色の奥にぽたりぽたりと鈍き光りが滴る様に見え初める。三層四層五層共に瓦斯(ガス)を点じたのである。・・・≫「倫敦塔・幻影の盾」〈カーライル博物館〉(夏目漱石 新潮文庫)

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