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海を渡った二大絵巻

吉備囲碁j
 昨年、東京で「ボストン美術館 日本美術の至宝展」が開催されていたときは、ボストン美術館所蔵の「平治物語絵巻」(三条殿夜討巻)公開に併せて、他2つの信西巻、六波羅行幸巻も、別の美術館で同時期に見ることができたようです。羨ましいと、思っても、いまさら仕方ないので、大阪の会期も初めの頃、9時半開館という、すいた時間を狙って大阪市立美術館に行きました。絵巻物を見る時は、混雑が一番の敵なのです。

 平治の乱(1159年)を記録するように描かれた絵巻の一部ですが、焼き討ちの火で、ごった返す様子が生々しく描かれ、迫力があります。興奮して逆走する牛車、それに轢かれた人、井戸の周りに折り重なって犠牲になった人たちや、まだなお、床の下を探す人等など、細かく描かれた絵巻は、そのドラマ性が伝わってきて、見ていて飽きません。

 そして、「海を渡った二大絵巻」と、半ば、自嘲気味に展示されているもう一点は、今回、とても見たかった「吉備大臣入唐絵巻」でした。
 こちらは、記録絵巻と言うより、絵本のルーツとも言える、お話とその挿絵の世界です。
大体、ちょっと都合が悪くなったら、超能力で、空を飛ぶし、試験問題の盗み聞きはするし、囲碁の勝負にいたっては碁石を飲み込んで勝つし・・・ま、鬼を味方につけた時点で勝負はあったのですが、ともかく荒唐無稽で、楽しいのです。囲碁に勝つために、天井の格子を碁盤に見立て、天井を向いて練習するなんていう発想も可笑しいし、飲み込んだ碁を出すために下剤を飲まされた当人はけっろと佇んでいるのに(超能力で碁石は体内に残ったらしい)、その点検を鼻を押さえてする役人たちといったら・・・
 で、昨秋に見た滋賀県立美術館の石山寺縁起絵巻、サントリー美術館のお伽草子でもそうでしたが、絵巻の一番の楽しみは、それぞれの人たちの表情が違うところにあります。ずらっと並んだ人たちでも、「以下同じ」という顔ではなく、みんな違う表情・動きをしているから、生き生きとした「一人」が見えます。画家も、きっと楽しみながら描いたのでは?
 こんな絵巻の楽しみを味わうには、自分で所蔵するか・・・これは、あり得ませんので、研究者になるか・・・これも、あり得ませんので、混雑を避けて鑑賞に出掛けるしかありません。(「雲龍図」に続く)

☆写真は、「ボストン美術館 日本美術の至宝」の図録、「吉備大臣入唐絵巻」囲碁の部分。薔薇は、今年の一番薔薇オフィーリア。

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