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北の魔女 ロウヒ

481雪の森j
「北の魔女 ロウヒ」 
(トニ・デ・ゲレツ原文 さくまゆみこ編訳 バーバラ・クーニー絵 あすなろ書房)
(「軟膏と鉄」から続き)
(承前)
 「カレワラ」の主要登場人物のロウヒの視点で描かれた絵本です。
本来なら、ロウヒは、ポポヨラに住む邪な女主人なので、もっと厳しく描かれてもいいのですが、この絵本は、ロウヒの視点で描かれていますから、醜いというより、ちょっと意地悪婆さんという感じです。暗い世界、明るい世界が描き分けられていて綺麗な絵本になっています。

 絵本の大筋はこうです。
 ワイナモイネンがカンテレという楽器を奏で歌うと、森のけものたちだけでなく、月や太陽もロウヒまでもやってきます。ロウヒは「いたずら心」から、月と太陽を持ち去り、山に閉じ込めてしまい、辺り一面真っ暗で寒くしてしまいます。ところが、鍛冶屋が、ロウヒをひっとらえるために鉄の首輪と鉄の鎖を作っているのを知ると、あわてて月と太陽を返し、ふたたび、昼と夜にわかれ、季節もめぐってくるようになります。

 この辺り、岩波文庫の「カレワラ」*では、三章分あります。その始まりはこうです。
≪強固な老ワイナミョイネンは 長らくカンテレを奏でていた、奏でそして歌っていた、まことに喜び溢れるように。    音曲は月の家まで聞こえ、歓喜は太陽の窓辺に達した。月はその家から出てきて、白樺の曲がり目に座った。太陽はその城より抜けて、松の木の頂きにおりた カンテレに聞き入るために、歓喜の調べを賛美した。    ロウヒ、ポポヨラの女主人(あるじ)は、ポポヤの歯抜け婆は、そこで太陽をしかと捕らえた、美しい月を手に摑んだ、月を白樺の曲がり目から、太陽を松の頂きから。彼らをすぐに家に連れ帰った。暗いポポヨラへ。    月を照らさないように隠した 縞目のある石の中へ、太陽を光らないように歌い込めた 鋼(はがね)の山の中へ。・・・・・・・≫

 絵本でロウヒと出逢った子どもたちが、いつか「カレワラ」に出会ったら、どんな世界をイメージするでしょう。
(「彫刻家の娘」に続く)

*「カレワラ フィンランド叙事詩 (上)(下)」 (リョンロット編 小泉保訳 岩波文庫)
☆写真は、京都府美山町(撮影*&Co.A)

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