FC2ブログ
 

みんなみすべくきたすべく

九日間の女王さま

          472ハンプトンコートj
 「九日間の女王さま」 (カーリン・ブラッドフォード作 石井美樹子訳 すぐ書房)
(「倫敦塔」から続き)
(承前)
 ドラローシュの絵画「ロンドン塔の二人の王子(Edward V and the Duke of York in the Tower)」は、パリ・ルーブルとロンドンウォレスコレクションにあります。これは、あまり大きな絵ではありませんが、ロンドン・ナショナルギャラリーにある「レディ・ジェーン・グレイの処刑(The Execution of Lady Jane Grey)」は、大きな絵で目をひきます。また、描かれている内容もインパクトがあり、しかも、中央レディ・ジェーン・グレイが、特に、後光射すかのように眼に飛び込んできます。
(夏目漱石「倫敦塔」より)
≪・・・女は白き手巾で目隠しをして両の手で首を載せる台を探すような風情に見える。…(中略)…女は雪の如く白い服を着けて、肩にあまる金色の髪を時々雲のように揺らす。・・・≫

 レディ・ジェーン・グレイは、誰?
 
 ヘンリー八世(1491~1547)のあと、息子のエドワード六世(1547~1553)が王になるも、病弱で15歳で死亡。それまで、王位継承とは縁遠いと思われていた(ヘンリー八世の妹の孫)、16歳のジェーンが政略結婚で担ぎ出され、女王に即位するも、謀略が発覚し、9日間在位しただけで、反逆罪で処刑されたという史実。
 ジェーンと王位を争ったのは、熱心なカトリック信者のメアリ一世(1516~1558)、その後が、エリザベス一世(1533~1603)。

「九日間の女王さま」は、ロンドン塔に幽閉され、断頭台の露と消えた主人公のジェーン・グレイ(1537~1554)が、どんな少女だったのかを書き、気高い最期を迎えるまで、どう生きたのかを書いています。

そばかすを消そうと、ニワトコ水で何度も顔をこするジェーン。
戴冠式に胸躍らせるジェーン。
少年王エドワードと同世代のひとときを過ごすジェーン。
・・・そして、周囲の権謀術数の渦に巻き込まれていく孤独、そして、誇り。

 読者の対象を主人公と同じような年齢にしたことによって、若い人にも感情移入しやすく、平易な文章は、史実にアプローチしやすいと思います。(「王子と乞食1」に続く)

*「倫敦塔・幻影の盾」 夏目漱石 新潮文庫など

☆写真は、英国ハンプトンコート内。この宮殿で、ヘンリー八世の妃ジェーン・シーモア(ジェーン・グレイとは違います。ほんと、ややこしい)はエドワード6世を出産し、12日後に死亡。で、幽霊伝説があるそうな・・・他に、ヘンリー八世関連の妃という話も。(撮影:&Co.H)

PageTop