FC2ブログ
 

みんなみすべくきたすべく

もう一人のシェイクスピア

461ニュープレイスj
(「作者不詳」から続き)
(承前)
 映画「もうひとりのシェイクスピア」に出てくるベン・ジョンソン(1532~1637)が、最期の原稿を受け取った時、「これらの作品が書かれた同時代に生きられて光栄に思う」と言い、その著者の偉大さを讃えます。この映画で、特に印象に残るのは、若きイケメンたちや、お城や、1600年頃のロンドンの風景ではなく、「言葉」の重みが、端々に感じられたことです。上記の台詞以外にも、印象に残る台詞は多いものの、記憶力のせいで、ほとんど覚えられませんでした。できれば、この映画の原作があれば、読んでみたいと思うくらいです。

 エリザベス1世が、シェイクスピアのソネットを読み、それが、実は、遠い昔、秘密の言葉を交わし合った人が書いたものだと理解します。言葉が時を越え、心に響いた瞬間です。

 また、「ペンは剣よりも強し」を、ストーリーの隅々で読みとることができます。
 映画では、エリザベス1世からスコットランド王ジェームス6世にかわっても、シェイクスピア劇を楽しむシーンがエンディング付近に出てきます。そのときすでに、ジェイムズ6世は、「エジンバラでも楽しんだシェイクスピア劇」といいます。謀策略を練るより早く、ロンドンからエジンバラへ。そして、その後も、幾度かの剣の飛び交う時代を越え、今も世界中で上演されているのです。

 現在のロンドン・グローブ座の俳優、Mark Rylanceも映画にでていました。劇中劇で、当時の役者として、何度か画面に登場します。何年か前、毎年のようにロンドン・グローブ座に観に行っていた頃から、主役だった彼は、決して美形ではないのですが、彼が演じると、哀しいのか可笑しいのか、可笑しいのか哀しいのか、人生の深さが見えるような気がするのです。それこそが、人間観察に優れたシェイクスピアの真髄なのだと思います。
 映画の中で、本物の著者はいうのです。「私は、人間の心をずっと書いてきたからわかる。」と。

☆写真は、英国ストラッドフォード・アポン・エイボンのニュープレイス。ロンドンから戻ったシェイクスピアが購入した邸宅。(撮影:&Co.T)

PageTop