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みんなみすべくきたすべく

挿絵

450夜のパリj
(「原作の持つ力」から続き)
(承前)
 多分、ユゴーの時代でも、本文を読み切れず、挿絵だけで大筋をつかんだり、本筋とは違う観点で楽しんだという人もいたと思います。それは、1862年に出版されたユゴーの「レ・ミゼラブル」には、挿絵がなく、1865年エッツェル&ラクロア版で木版画200枚を入れ、1879年のユーグ版「レ・ミゼラブル」では絵を増やして出版されたことからもわかります。それには、なんと、360枚の挿絵!

 岩波文庫版の4冊でも200枚の挿絵で、ずいぶん多いと感じていましたが、それをはるかにしのぐ枚数です。
鹿島茂「レ・ミゼラブル百六景」は、そんな挿絵に魅了され、生まれた本です。各版から二百数十枚の挿絵が選ばれ、抄訳と民俗考証などのキャプションをつける形で、レ・ミゼラブルに迫ろうという一冊なのです。著者が前書きで述べるように、≪これは正統的な文学研究でもないし、かといって正統的な歴史研究でもない。≫のですが、読書の楽しみを増やし、絵を見るだけで、お話がわかるという、絵本の基本と通じていて、楽しい一冊です。(最近、新版がでたようです)

 ところで、ユゴー自身も絵が上手いのをご存じでしたか。
 「ライン河幻想紀行」という、ユゴーによる紀行文には、ユゴー自らスケッチしたものを使い、中で紹介される伝説の挿絵には、やはりユゴー画を使っています。(「わたしは河が好きだ」に続く)

*「レ・ミゼラブル百六景」(鹿島茂 文春文庫)
*「ライン河幻想紀行」(ユゴー文 榊原 晃三訳 岩波文庫)

☆写真は、2012年パリ マロニエ、街灯、閉まったカフェ

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